最新記事

キャリア

会社を売って何が悪い? 起業に崇高な理念など必要ない

2018年2月26日(月)16時03分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

momcilog-iStock.

<「働き方改革」が話題になっているが、自分の働き方は自分で決められるほうがいい。就職でも自営業でもない生き方――「シリアルアントレプレナー(連続起業家)」の利点>

国会で今、働き方改革法案をめぐる議論が白熱している。裁量労働制の適用拡大を目指す与党に、野党は反発。「定額働かせ放題になる」「むしろ働かせ方改革だ」などといった言葉が、反対派からは上がっている。

その一方、起業後進国とされてきた日本でも、起業家の活躍が目立つようになってきた。メルカの山田進太郎、SHOWROOMの前田裕二、スタートトゥデイ(ZOZOTOWN)の前澤友作、Sansanの寺田親弘......。自分で会社を作れば、不本意な「働かせ方」に悩まされることもないだろう。

しかも、ただ起業するだけでなく、設立した会社を売るべきだと、31歳の起業家、正田圭氏は言う。それこそが時間とお金の両方を手に入れ、人生の選択肢を広げる生き方だというのだ。自分の働き方は、自分で自由に決められるのがいちばん良い。

15歳で最初の起業をし、ネット事業やM&A、事業再生などに従事してきた正田氏。現在はテクノロジーを活用した金融データ解析などを提供する会社、TIGALAの代表取締役を務めている。

正田氏はこのたび、自分のノウハウを伝え、起業して会社を売却する「文化」をもっと日本に広めたいと『サクッと起業してサクッと売却する――就職でもなく自営業でもない新しい働き方』(CCCメディアハウス)を上梓した。ここでは本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。第1回は「はじめに」より。

◇ ◇ ◇

はじめに――会社を売るのもトマトを売るのも同じ

僕はいわゆるシリアルアントレプレナー(連続起業家)だ。連続的に起業するとはどういうことかというと、会社を立ち上げて、売却して、また会社をつくって売却するということを飽きもせず延々と繰り返す人のことである。15歳の頃から、僕はこの連続的に起業することを生業にしている。

「会社を売った」というと、「会社を売るなんてとんでもない」とか「会社なんて簡単に売れるもんなんですか?」と返ってくることが多い。今でこそ、「起業して会社を売した」といえば、「おぉ、すげーな」とか「おめでとうございます」と言われたりすることも増えてきた気がするが、そうはいっても、まだ「何かいかがわしいことでもしたのではないか」とか「金に目がくらんでるんだ」と思われていることも多いかもしれない。

僕が本書を書いた目的は、この「会社を売る」という行動のメリットを皆さんに理解してもらうことにある。さらに言えば、「起業して会社をエグジット(売却)する」という「文化」を、日本でもっともっと普及させていきたいという強い思いがある。



『サクッと起業してサクッと売却する
 ――就職でもなく自営業でもない新しい働き方』
 正田 圭 著
 CCCメディアハウス

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本経済「持ち直しの見方、変わらず」=植田日銀総裁

ワールド

大統領選後に拘束記者解放、トランプ氏投稿 プーチン

ビジネス

ドイツ銀行、9年ぶりに円債発行 643億円

ビジネス

中国は過剰生産能力を認識すべき、G7で対応協議へ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結果を発表

  • 2

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決するとき

  • 3

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレドニアで非常事態が宣言されたか

  • 4

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新…

  • 7

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    魔法の薬の「実験体」にされた子供たち...今も解決し…

  • 10

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中