「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
欧州連合(EU)は「重要原材料法」など通じて域内でのレアアース開発を目指しているが、調査会社ロジウム・グループのシニアアドバイザー、ノア・バーキン氏はペースが遅いと指摘する。
商品を実用化した企業も、中国企業との価格競争に苦戦している。ドイツの金属専門会社ヘレウスの磁石リサイクル事業共同責任者、デービッド・ベンダー氏は、同事業の稼働率が現在1%で、売り上げが伸びなければ、来年閉鎖せざるを得ないと語った。
単なる警告射撃か
自動車業界は、長期的な解決策を模索する一方で、差し迫った工場閉鎖を回避するため奔走している。メルセデスベンツはレアアース在庫の構築に向けサプライヤーとの協議を進めている。
アナリストによると、今回の部品不足を受けて、自動車メーカーは製造できるところまで製造して、部品が手に入った時点で完成させるという半導体危機の際と同じ対応を迫られる可能性がある。
自動車メーカーの中国依存はレアアースだけにとどまらない。24年の欧州委員会の報告書によると、中国はマンガン、グラファイト、アルミニウムなど19の主要な原材料について、世界の供給の50%以上を支配している。
サプライチェーン専門会社SCインサイツのアンディ・レイランド共同創業者は、こうした原材料がいずれも交渉の切り札として中国に利用される可能性があるとし「今回は単なる警告射撃だ」との見方を示した。
