最新記事

自己啓発

これだけは絶対にやってはいけない 稲盛和夫が断言した「成功しない人」に共通するたった1つのこと

2023年2月20日(月)15時45分
宮崎直子(ライフコーチ) *PRESIDENT Onlineからの転載
稲盛和夫

Science History Institute [CC BY-SA 3.0]


「成功の秘訣」とは何か。ライフコーチの宮崎直子さんは「『成功の秘訣を知りたい』と稲盛和夫氏に教えを乞うた時、『絶対にやってはいけない』と強く言われた教えがある。シリコンバレーの常識とは正反対だったが、それを守ったところ、本当に効果があった」という――。


一代で京セラとKDDIを築き上げた「成功の秘訣」

私が稲盛和夫さんの盛和塾シリコンバレーの門を叩いたのは2011年の秋のこと。2003年から共同経営者として経営していたソフトウエアの会社が伸び悩んでいた私は、一代で京セラとKDDIという数兆円規模の会社を2つも築き上げた稲盛さんの成功の秘密が一体どこにあるのか知りたいと思ったのだ。

盛和塾に入って稲盛さんの教えを学ぶに連れ、稲盛流の成功の秘訣(ひけつ)は、私が暮らすシリコンバレーの常識とは真逆のところにあることが分かった。稲盛さんから教わった「絶対にやってはいけない」たった1つのこと。その教えを守ることで、私は仕事が順調になっていっただけでなく、高い自己肯定感を身に付け保つことができるようになるという、思わぬ副産物を得ることができた。

シリコンバレーはその自由さの反面、経営者も社員も私利私欲で動いている人が多いのも事実だ。起業する前に勤めていたベンチャー企業で私はそれを目の当たりにした。

損得勘定丸出しの生き方をしてきた

多くのシリコンバレーの会社では、なんの前触れもなくレイオフが起こる。レイオフとは、会社の業績が悪くなった時や会社の合併などに伴い、複数の社員を一斉に半永久的に解雇することだ。ある日唐突に会社を解雇される可能性が常にあるシリコンバレー企業の社員たちは、会社に対する忠誠心は希薄で、自分に少しでも高いお給料やポジションをオファーしてくれる会社が見つかればさっさと移っていく。

私自身も当然のように、「それは自分にとって得か、損か」という観点でいろいろな物事を判断する習慣が身に付いていた。会社員時代の私は、「なるべく楽をして成果を上げたい、私の上司が見ていないところでは手を抜いて、見ているところでは努力をアピールする」という損得勘定丸出しの生き方をしていた。

そんな会社員だったから、自分で会社を始めても従業員をうまくまとめられなかった。自分が昔自分の上司の目を盗んでは怠けたりしていたのを思い出し、従業員もきっとそうなのだろうと疑っていた。これでは良好な信頼関係が築けるわけがない。ましてや一人ひとりの能力をうまく引き出すこともできなかった。

「お天道様が喜ぶ判断をせよ」

稲盛さんから教わった、たった1つのこと。それは「絶対に損得勘定で判断するな」ということだ。そういうと、「損得勘定で判断しなかったら、一体何を基準に判断せよというのか」と思うだろう。

その答えが、「私はこの4文字で経営してきました」と稲盛さんをして言わしめた「敬天愛人」である。「天を敬い人を愛する」という稲盛さんが敬愛した西郷隆盛さんの言葉だ。「人には愛情を注ぐ。けれども判断をする時は、天がOKを出してくれる、天が喜んでくれる判断をせよ」という意味だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官

ビジネス

中国、自動車下取りに補助金 需要喚起へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中