最新記事

航空機

中国東方航空のボーイング機事故、737MAX運航再開に影響も

2022年3月23日(水)08時11分

航空コンサルティング会社IBAによると、墜落した737―800は比較的早期に導入され、安全性の高い運航実績を有するモデル。中国では1200機近くが運航され、同機にとって世界最大の市場となっている。

航空データを扱うシリウムのまとめによると、737─800は世界全体で4200機余りが運航されている。

国営メディアによると、東方航空は737―800の運航をすべて取りやめた。IBAによると、東方航空は737―800を89機保有し、中国の航空会社では第6番目に多い。中国の他の航空会社は同機の運航を継続しており、東方航空も737―800に似ているが、やや小型の737―700については運航を続けているという。

ジェフリーズのアナリストチームによると、中国の航空規制当局は、世界第2位を誇る国内線航空市場で1000機以上を運航停止すると航空輸送に大きな影響が出るため、技術的な欠陥が根本的な原因である恐れがない限り、737―800の運航を停止することはなさそうだという。

しかしコーエンのアナリスト、カイ・フォン・ルーモール氏はメモで、MAXが737全体の評判に影響を与えている問題を考えると、事故原因がはっきりするまで中国の国民は737─800の利用を避けるのではないかと危惧を示した。

また同氏は、民間航空機の墜落事故の主な原因は製造や設計などの面の問題よりも、整備不良、パイロットのミス、妨害行為によるものである場合が多いと指摘した上で、「だから事故原因の切り分けが非常に重要だ」とした。

事情に詳しい別の関係者によると、ボーイングは近くマイアミで開催する予定だった幹部役員の会合を中止し、事故原因の調査と東方航空への支援に集中するという。

ボーイングのカルフーン最高経営責任者(CEO)は従業員向けのメールで、「われわれは事故発生以来、顧客や規制当局と緊密に連絡を取り合っており、調査には当社の技術陣が全面的な支援を提供している」と説明した。ロイターがメールの内容を確認した。

(Jamie Freed記者、Eric M. Johnson記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相次ぐ、「一生このまま」と医師
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・日本のコロナ療養が羨ましい!無料で大量の食料支援に感動の声
・コーギー犬をバールで殺害 中国当局がコロナ対策で...批判噴出


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

IMFがドイツに「債務ブレーキ」緩和を提言、財務省

ワールド

スリランカ中銀が金利据え置き、数カ月で物価上昇率は

ワールド

岸田首相、中国共産党幹部と会談 安定的関係へ「対話

ビジネス

韓国サムスン電子の労組、ストライキ実施を宣言
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏…

  • 6

    プーチンの天然ガス戦略が裏目で売り先が枯渇! 欧…

  • 7

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 8

    なぜ「クアッド」はグダグダになってしまったのか?

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中