最新記事

会議

なぜ議論を「グラフィック化」すると、ヒラメキ溢れる会議になるのか?

2021年9月8日(水)06時25分
flier編集部
山田夏子氏

山田さんのグラフィックファシリテーション風景 Natsuko Yamada

<会議を活性化させる方法として注目を集めるグラフィックファシリテーションの「効能」と正しい使い方を専門家に聞く>

※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

「会議で参加者の主体性を引き出せない」「革新的なアイデアが生まれない」。こうした課題を抱える企業も少なくありません。そこで注目されているのが「グラフィックファシリテーション」。対話をリアルタイムで絵図にして「見える化」することで、場の活性化を促す技術です。

その基本から実践までファシリテーターの指針をまとめたのが、『グラフィックファシリテーションの教科書』(かんき出版)。著者は一般社団法人グラフィックファシリテーション協会代表理事を務める山田夏子さんです。NHK総合『週刊ニュース深読み』でグラフィックファシリテーターとして出演されていました。

会議をヒラメキ溢れるものにするためには、心理的安全性が大切だといわれます。そんな中、対話を活性化するために、グラフィックファシリテーションをどう活かせるのでしょうか?

対話で「違い」をもっと活かしてほしい

── 改めてグラフィックファシリテーションとは何か、紹介していただけますか。

話し合いをリアルタイムで、絵と文字で「見える化」することで、場の活性化や相互理解を促す技術のことです。具体的な活用の場は、チームビルディング、ビジョン策定、組織改革など実にさまざま。オンライン会議でも意識の共有に効果的だといいます。

同時進行で話を描くという点では、グラフィックレコーディングとよく似ていますが、目的の軸足が少し違います。グラフィックレコーディングは、話の全体像をわかりやすく整理し、まとめることを重視します。成果物は「絵」のアウトプットです。

これに対しグラフィックファシリテーションで重視するのは、参加者の主体性に火がつき、場が活性化すること。成果物は、絵や色、線のゆらぎを使ったファシリテーションでどれだけ「場」が深まったかのプロセスだといえます。

── 『グラフィックファシリテーションの教科書』は全ページカラーで、ファシリテーションの本質や実践のポイントがグラフィックで豊かに描かれていて、とても魅力的でした。山田さんが本書を通じて読者にとくに伝えたかったメッセージは何ですか。

人間は多面的で複雑な存在であり、その「違い」を対話でもっと活かしてほしいという願いがありました。本来、一人の人間のなかに色々な考えや感情があります。ですが、会議やワークショップのファシリテーションをしていると、それを言語という記号だけではとても表しきれないなと感じていたのです。

210904fl_ny02.jpg

グラフィックファシリテーションの教科書
著者:山田夏子
出版社:かんき出版
flierで要約を読む

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国の李首相、今週オーストラリア訪問へ 中国首相の

ビジネス

フランス議会の解散総選挙、格付けにマイナス=ムーデ

ビジネス

ECB、来年までにインフレ目標達成へ 統計のノイズ

ワールド

ロシアとベラルーシ、戦術核演習の第2段階開始
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 2

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...? 史上最強の抗酸化物質を多く含むあの魚

  • 3

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬で決着 「圧倒的勝者」はどっち?

  • 4

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 5

    たった1日10分の筋トレが人生を変える...大人になっ…

  • 6

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らか…

  • 7

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕…

  • 8

    「私の心の王」...ヨルダン・ラーニア王妃が最愛の夫…

  • 9

    イスラエルに根付く「被害者意識」は、なぜ国際社会…

  • 10

    高さ27mの断崖から身一つでダイブ 「命知らずの超人…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が34歳の誕生日を愛娘と祝う...公式写真が話題に

  • 3

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車が、平原進むロシアの装甲車2台を「爆破」する決定的瞬間

  • 4

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 5

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らか…

  • 6

    「サルミアッキ」猫の秘密...遺伝子変異が生んだ新た…

  • 7

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 8

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 9

    アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中