コラム

キレやすいのはどっち? バイデンVSトランプ討論会、観戦に当たって押さえておくべき8つのポイント

2024年06月27日(木)15時50分
討論会

前回と同じ候補者同士が再び舌戦を展開する(写真は2020年の討論会)JONATHAN ERNST-REUTERS

<いよいよ日本時間28日(金)朝10時、史上初の「現職と前職の2人の大統領」対決が行われる。ポトリッキオ教授が解説する見どころは?>

6月27日(日本時間28日朝10時)、CNNが主催する大統領選候補者のテレビ討論会が行われる。1956年以来となる同じ候補者同士の再戦が実質的にここから始まる。最初のテレビ討論会は60年なので、アメリカの有権者は史上初めて、「現職と前職の2人の大統領」の言論対決を目撃する。史上最も早い日程で実施されるこの討論会で、最も気になる問題は以下の8つだ。

①本当に行われるのか

今回は88年以来初めて、超党派の大統領候補討論会委員会が運営しない討論会となる(次回はABCテレビ主催で9月10日の予定)。舞台裏で両陣営の弁護士が会場のセッティングや形式、進行手順などについて交渉を続けているが、小さな意見の相違が討論会の開催自体を危うくする可能性もある。バイデン大統領もトランプ前大統領も、予備選の討論会には参加しなかった。


②ロバート・ケネディJr.に参加資格はあるのか

過去に討論会の参加資格を得た無所属候補は92年のロス・ペローだけ。CNNが設定した参加条件は2つある。4つの全国世論調査で支持率15%を獲得していることと、立候補した(投票用紙に名前が記載される)各州の選挙人割当数の合計が、大統領選の勝利に必要な選挙人の票数(計270以上)に達していることだ。

ケネディはまだどちらの条件も満たしていないが、CNNの独自世論調査とクィニピアク大学の調査で16%を記録。他のいくつかの調査でも15%まであと2ポイントに迫っている。バイデンが早期の討論会開催を呼びかけたのは、ケネディを排除するためだったのかもしれない。(編集部注:本稿執筆後、ケネディは条件を満たせず参加資格を得られなかったと報道された)

③バイデンは高齢批判を克服できるか

アメリカ人の90%近くが、バイデンは年を取りすぎていると考えている。実際にはトランプとの年齢差はわずか3年で、体脂肪率や有酸素運動のレベルなどの客観的な数字は良好だ。

それでも重要なのは、有権者がどう思うかだ。バイデンが討論会を呼びかけたのは、ここで力強い姿を見せれば一気に得点を稼げると考えたからだろう。

④メディアの扱いはトランプに追い風か

トランプはこれまでCNNを激しく非難してきた。討論会の司会者2人も、トランプを敢然と批判したことで有名なジャーナリストだ。もし彼らが5月末に有罪評決を受けたトランプにバイデンより強く当たった場合、既得権益層のエリートが自分を陥れたというトランプの主張は、投票先未定の有権者を引き付けるだろうか。

⑤誇張を防げるか

今はSNSとクリックベイト(釣り記事)が全盛を極め、人々の注意力が長続きしない時代。討論会の結果について、私たちは過剰反応しがちだ。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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