コラム

「経済成長中毒」な私たちへの提言/harness(生かす)

2018年12月28日(金)11時00分

www.ted.comより

【今週のTED Talk動画】
A healthy economy should be designed to thrive, not grow
https://www.ted.com/talks/kate_raworth_a_healthy_economy_should_be...

登壇者:ケイト・ラワース

国にとっても個別の企業にとっても、絶えず成長していくことへのプレッシャーが強くのしかかっている。経済学者のケイト・ラワース氏は、成長が現代の経済学の前提となっている結果、私たちが「成長中毒」になってしまっていると指摘する。

しかし、地球の資源は限られているため、成長だけを続けていくと、地球の環境を崩し、地球を住みにくい場所としてしまう危険性が高い。対策として、ラワース氏はこのTEDトークで、経済に関する新しい考え方を提唱している。彼女によると、成長を最優先するのではなく、再生と再配分を前提とする経済が必要であるそうだ。

それを実現するためには、金融、政治、そして社会におけるイノベーションが必要で、人工知能(AI)やブロックチェーンなどの新しい技術も活かすべきだと彼女は指摘する。このインスピレーションに富んだトークを聞くと、自分もこの動きに貢献したくなるだろう。

キーフレーズ解説

harness
生かす
(動画12:22より)

harnessはもともと、名詞として使われた場合は「馬車馬の引き具」という意味を持ち、動詞として使われると「馬に装具を付ける」という意味になります。比喩的に使われる際は、エネルギーや自然の力を役立つように生かす、または利用する、という意味です。

馬と同じように、純粋な資源であると言えるものを人間のために使うというニュアンスを持ちます。このTEDトークでラワース氏は、今日の技術を社会のためにharnessできるのではないかと提案しています。

ここでいくつかこの表現を用いた例を紹介します:

●The scientist is studying ways to harness energy from tornados and hurricanes.
(科学者は竜巻やハリケーンのエネルギーを生かす方法を研究しています)

●The company wants to harness the creativity of its employees.
(その会社は従業員の創造性を生かしたいと考えています)

●Turbines harness the power of the wind to make electricity.
(タービンは電力を作るために風力を生かしています)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハマス、60日間の一時停戦案を承認 人質・囚人交換

ワールド

米ウクライナ首脳会談開始、安全保証巡り協議へとトラ

ワールド

ロシア、ウクライナへのNATO軍派遣を拒否=外務省

ビジネス

トランプ政権、インテル株10%取得巡り協議中と報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する現実とMetaのルカンらが示す6つの原則【note限定公開記事】
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 6
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 7
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story