コラム

コネティカット乱射事件から一周年、進まない銃規制

2013年12月17日(火)11時11分

 では、今年「最も銃規制で実績を挙げた」のは誰かというと、それは全世界でカフェを運営するスターバックスでしょう。スターバックスは一時期「店舗内への銃の持ち込み禁止」を統一のガイドラインにしていたのが、銃保有派の執拗な攻撃、つまり「銃を携帯する権利、銃で武装していると誇示する権利を認めよ」という主張に屈していたのです。

 この「携帯を誇示する権利」というのは、何とも暴力的な感じがしますが、主張している人々は特に暴力的な人々ではありません。逆に「武装を誇示していないと怖い」という究極の「臆病さ」を抱えているわけで、問題はそれだけ根深いのだとも言えます。

 ですが、スターバックスは屈しませんでした。今年の9月に改めて「全世界の統一ルール」として「スターバックスに来店するお客様はご自分の銃は自宅に置いて来てください」という方針を掲げることに成功したのです。この「スタバの銃規制」が目立つというのは、それだけ政治がこの問題を避けているということの裏返しであるわけで、何ともやり切れない思いがします。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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