コラム

検事長の定年延長問題に見る、日本の民主主義が「カミワキ頼み」な現状

2024年07月12日(金)17時45分

次々に闇に光を当てる上脇教授の働きぶりは国民栄誉賞モノではないかと思うが、一方で上脇教授一人に頼るばかりでよいのか、とも思う。

昨年11月の東京新聞では「個人の熱意任せではなく、本来はオンブズマンや報道機関がもっと追及する必要がある」と専門家が指摘している。

では黒川氏の問題を別の視点で振り返ろう。解釈変更後に提出された検察庁法改正案は廃案になったが、黒川氏本人は新型コロナ下の緊急事態宣言中の賭けマージャンを「文春砲」で暴かれて辞職。マージャンの相手は朝日と産経の記者だった。朝日は社説に次のように書いた。

「小欄としても同じ社内で仕事をする一員として、こうべを垂れ、戒めとしたい」(20年5月22日)

頭は下げるけど謝らず。妙にエラそうだ。心の中では「権力者には近づいてナンボだろ」と思っていそう。全国紙がこうなら日本の民主主義は今後も上脇教授頼みなのか......。

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プロフィール

プチ鹿島

1970年、長野県生まれ。新聞15紙を読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルからニュースを読み解く時事芸人。『ヤラセと情熱 水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実』(双葉社)、『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』(文藝春秋)、『芸人式新聞の読み方」』(幻冬舎)等、著作多数。監督・主演映画に『劇場版センキョナンデス』等。 X(旧Twitter):@pkashima

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