コラム

「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あのSF映画の先見の明を考える

2025年03月24日(月)19時57分
ドナルド・トランプ、イーロン・マスク、バック・トゥ・ザ・フューチャー、USAID、ビフ・タネン、デロリアン、タイムマシン、ロナルド・レーガン

今回のAIイラスト:もしかして、デロリアン悪用した? AI GENERATED ART BY NEWSWEEK JAPAN VIA STABLE DIFFUSION

<バック・トゥ・ザ・フューチャーの脚本家はトランプを未来世界の悪役のモデルにしたと明かしている。そこで、未来の描写で当たっているものといないものを時事芸人のプチ鹿島さんが振り返ります>

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』第1作の公開から今年で40年。2月に3部作がテレビで放送されて話題になった。しみじみしたのは主役コンビのマーティとドクがパート2で1985年からタイムスリップしたのが2015年だったこと。今から10年も前の「未来」である。

その2015年に英BBCは「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の未来予測 当たりと外れと」という記事を出した。

記事中では「ピタリと当てたディテール」として自動車の無音に近い振動音を挙げている。トヨタのプリウスなど電気自動車(EV)でおなじみになった、と。ドクが若返りクリニックへ行ったシーンはボトックス注入などを例に「いい感じ」と評している。逆に、スマホやネットの発達は想定外だったようだ。


ただ、やはりこの映画はすごい。2015年の世界でマーティがカフェに入ると「いつも輝いていた80年代にようこそ」とレーガンらしきCGがビデオモニターに映るのだ。未来のアメリカが80年代を懐かしんでいることを描いているとは。

どこかドナルド・トランプの「Make America Great Again」を思い出すが、最大の驚きは「トランプが変えた世界」も描いていたことだ。

タイムマシンのデロリアンを悪用して大富豪になるビフ・タネンのモデルがトランプだったと脚本家のボブ・ゲイルが15年に明かしている。当時はトランプが大統領選の共和党候補を決める予備選で躍進し、30年前の名作が改めて注目された。ビフは大富豪どころか大統領になり、再びホワイトハウスに帰ってきたのが今年である。

プロフィール

プチ鹿島

1970年、長野県生まれ。新聞15紙を読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルからニュースを読み解く時事芸人。『ヤラセと情熱 水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実』(双葉社)、『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』(文藝春秋)、『芸人式新聞の読み方」』(幻冬舎)等、著作多数。監督・主演映画に『劇場版センキョナンデス』等。 X(旧Twitter):@pkashima

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story