コラム

イスラエル「世界最強」防空システムと情報機関でも、奇襲を防げなかった理由...もはや「ハマス敗北はない」の声も

2023年10月11日(水)18時58分

ハマスはイランの代理人ではない

ベイルートを拠点とするカーネギー中東シンクタンクのモハナド・ハゲ・アリ上級研究員はX(旧ツイッター)への連続投稿で「イスラエルとアラブ諸国の関係正常化を進めるアブラハム合意はイスラエルとアラブ諸国、イラン主導の『抵抗の枢軸』という二項対立を生み出した」と分析している。

「イランが支援する『統一戦線』は異なる過激派グループ(ヒズボラとハマス、パレスチナ・イスラム聖戦)の同盟と協調の強化を伴う。2021年の紛争では共同作戦室が設置された。イスラエルによるガザ攻撃がエスカレートする中、ハマスはレバノンからロケット弾を発射する能力を導入した。ハマスがこの攻撃をパートナーと調整したのは明らかだ」

しかしハマスはイランの代理人ではない。必要に応じて連携している。アリ氏は「今回の攻撃の規模と成功から控えめに言ってもハマスの敗北はあり得ないことを示している。イスラエルの作戦は10月7日の影響を封じ込めるのがやっとだろう」とみる。戦争の行方がどうなろうと笑うのはイランという見方もすでに出ている。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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