コラム

内憂外患のチャールズ英国王 ヘンリー&メーガンが年内に予定する「反乱」

2022年09月10日(土)13時26分

ヘンリー公爵が年内に出版を予定している回顧録で「核爆弾」を爆発させれば、関係修復は不可能になるばかりか、チャールズ国王に代替わりした英王室が受ける打撃も計り知れない。国王として国民に向けた最初のメッセージで触れなければならないほど、ウィリアム皇太子とヘンリー公爵の確執は深刻だということの裏返しでもある。

ダイアナ元皇太子妃とのダブル不倫、離婚、そして元妃の悲劇の交通事故死はチャールズ国王とカミラ王妃の人気に影を落とす。チャールズ国王が「信頼できる他の人たちによって継続される」と話した慈善団体についてはサウジアラビアの大富豪やカタール元首相からの巨額寄付を巡り便宜供与疑惑や受け渡し方法の不自然さが問題視されている。

「新国王が女王の足跡をたどることができるよう望みます」

英紙ガーディアンは「女王の死が引き金となり、バルバドスに倣って立憲君主制ではなく共和制に移行しようとする英連邦王国14カ国のキャンペーンが起きるだろう。オーストラリアでは共和制支持勢力が拡大しそうな見通しで、ジャマイカやベリーズなどではチャールズ国王を国家元首として頂くために国民投票が必要となるだろう」と指摘している。

220910kmr_cnk02.JPG

バッキンガム宮殿前に詰めかけた市民(同)

220910kmr_cnk03.JPG

バッキンガム宮殿前に詰めかけた市民(同)

イングランド南東部ケント州の小学校音楽教員マーガレット・ルインさんは「女王に敬意を表し、花を手向けるためにやって来ました。治世は本当に長きにわたり、私たちは女王以外の君主を知りません。父は先週亡くなり、母は80代なので家族を代表して来ました。チャールズ国王が女王の足跡をたどることができるように望みます」と話した。

ウクライナ戦争が引き起こしたエネルギー危機、10%を超えるインフレについては「これから非常に困難な時期を迎えます。私たちはそれを乗り切らなければなりません。新国王はくじけずにやり抜くしかありません」という。ロンドン在住の無職モハメドさんも「チャールズ国王にはエリザベス女王時代と同じようにやってほしいです」と語る。

スー・ヒルマンさん(63)は「彼女はとても素晴らしい女性でした。祖国や他の国々への無私の奉仕は前例がありません。96歳なのに亡くなる2日前まで仕事をやり遂げた姿には驚きしかありません。チャールズ国王は王室の一貫性をもたらそうとするでしょう。彼と彼の子供たちは国民に仕える王族のあり方を女王から学んだと思います」と話した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英4月製造業PMI改定値は45.4、米関税懸念で輸

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資

ワールド

マスク氏、FRBへDOGEチーム派遣を検討=報道
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story