東芝など日本企業の海外M&Aが失敗しがちなのはなぜか
大型M&Aを成功させる2つの条件
大型のM&Aにおいて買収価格が高騰するのはよくあることなので、単純に価格が高すぎるという批判はあまり意味がない。ただ、こうした案件を成功させるためには、以下の2つのうち、どちらかの条件を満たす必要がある。
ひとつは、買収価格が高くても確実にキャッシュフローを得られること、もうひとつは、比較的短期間で業績を改善できる見通しが立っていることである。
不動産は買収価格が高いからといって、それに合わせてテナント料を引き上げることは難しく、買収価格の高騰はそのまま採算悪化につながる。その意味でロックフェラーセンターは最初から難しい案件だったと解釈できる。不動産価格が引き続き高騰することに賭けるしかない。
IBMのHDD事業やWHの買収については、業績を回復できる見込みがあれば、よい案件だったかもしれないが、現実はかなり厳しかった。
日立がHDD事業を買収した当時、HDDは急激な勢いでコモディティ化が進み、価格破壊ともいえる状況になっていた。これは構造的な要因であり、業務の改善でカバーできる部分は限られる。IBMはHDDのエキスパートであり、こうした状況を理解していたからこそ、自ら開発した技術と製品を手放したものと考えられる。
WHも同様である。米国では原子力事業はすでに斜陽産業と見なされており、福島原発事故以降はその傾向に拍車がかかっていた。WHのライバルで、やはり原発メーカーでもあったGE(ゼネラル・エレクトリック)は、同じ頃、原発からの撤退を決断している。
【参考記事】GEがボストンに本社を移し、日本企業は標準化の敗者となる
東芝だけが、縮小マーケットに対して果敢に挑んだ構図であり、WHについても、構造的な要因が大きかったと考えるべきだろう。買収後に東芝本体が業績拡大に関与できる余地は少なく、そのような中で強気の事業計画を策定してしまうと、結果として無理なプロジェクトにつながってしまう。
ソフトバンクやサントリーの買収はどうか?
一時期、日本企業の海外M&Aは停滞していたが、国内市場の縮小が顕著になっていることもあり、再び大型案件が模索されるようになってきた。ソフトバンクが3.3兆円を投じて英イギリスの半導体設計大手ARMを買収したり、サントリーが1兆6000億円を投じて酒類大手ビームを買収したのは典型的なケースといってよいだろう。
先ほどの成功法則に照らせば、ソフトバンクのARM買収とサントリーのビーム買収は成功する確率が高い案件といえる。
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