参院選が日本経済にもたらす変化とは...人気取りで「非合理的な経済政策」の実現はあり得る?

YUSUKE HARADAーNURPHOTOーREUTERS
<参院選で与党が敗北したことで、今まで以上に野党の要求を受け入れる必要が。日本でも多党制が常態化していく可能性が高まるなか、経済政策にはどんな影響があるのか>
7月20日に投開票が行われた参議院議員選挙で与党が敗北した。一方で野党第1党の立憲民主党も議席を伸ばすことができず、与党が失った議席は国民民主党や参政党など、立憲以外の野党各党に分散している。
つまり今回の選挙で示された民意は、政権与党に対してノーを突き付けているものの、野党第1党である立憲民主党を中心とした政権交代も望んでいないということになる。
今回の選挙は、当初から与党の苦戦が取り沙汰されており、大敗北になるとの見立てもあった。だが1人区を中心に自民党がそれなりに踏ん張ったこともあり、最終的に同党は52議席から39議席と13議席の減少となった。
公明党も議席を減らしたことから、与党は参院でも過半数割れとなり、誰が首相でも今後の政権運営はさらに厳しさを増す。政策を立案するに当たっては、今まで以上に野党の要求を受け入れる必要があるため、法案を通すのは相当、難しくなるだろう。
一党独裁の時代とは異なり、各党が政策で意見を出し合い、国会の議論でコンセンサスを得ること自体は悪いことではない。だが、どうしても懸念されるのは、社会保障や財政など、本来、政争の具になってはならない分野の議論だろう。
今回の選挙結果によって、野党各党にはこれまで以上に責任政党としての立場が求められる。本来であれば、財政や社会保障の問題についても、単なる人気取りの政策を打ち出すことは難しくなってくるはずだ。
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