コラム

イギリスの香港市民受け入れはブレグジット効果

2020年07月18日(土)14時10分

最後に、これは日本で報道されるかどうかも疑わしいが、ロックダウン中の壮大なるグッドニュースが1つある。イギリスで700人以上の組織犯罪関係者が逮捕されたのだ。これは、フランス捜査当局が犯罪組織の暗号メッセージをハッキングして追った素晴らしい努力が実ったものであり、さらにそれを利用してイギリス警察がターゲットを特定し、行動を監視して証拠を積み上げることに成功したからでもある(その過程で犯罪組織と癒着していた警察官2人も特定された)。

これは、以前なら「しっぽをつかめなかった」重要人物をも含む、イギリス各地での一斉逮捕につながり、大量の武器やドラッグ、不正資金の押収という成果も生んだ。フランスとオランダ、イギリスや他の欧州諸国の警察当局が協力して、国境を越えた犯罪組織に強烈な一撃を与えることができたのだ。こうした協力体制はEUの誕生以前にも存在したし、イギリスのEU離脱後も存在し続ける。

EU残留支持派は、ブレグジット後のイギリスは外国人嫌いの存在と化し、世界と関わらず、隔絶されて安全性が低くなるだろうと主張していた。今のところ、そんな理論がもっともらしく聞こえるだろうか?

【話題の記事】
・東京都、新型コロナ新規感染286人で過去最多を更新 「GoToトラベル」は東京除外で実施へ
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新型コロナの起源は7年前の中国雲南省の銅山か、武漢研究所が保管
・インドネシア、地元TV局スタッフが殴打・刺殺され遺体放置 謎だらけの事件にメディア騒然


20200721issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月21日号(7月14日発売)は「台湾の力量」特集。コロナ対策で世界を驚かせ、中国の圧力に孤軍奮闘。外交・ITで存在感を増す台湾の実力と展望は? PLUS デジタル担当大臣オードリー・タンの真価。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国務長官がハーバード大の調査勧告、制裁違反の可能

ビジネス

ECBの最新利下げ、インフレの2%達成に寄与=レー

ワールド

トランプ氏、イランとのディール巡り自信低下 ポッド

ビジネス

英中銀の資金供給手段、銀行は積極的に活用を=理事
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 5
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 6
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 7
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 8
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 9
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 10
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story