小売企業決算、トランプ関税の影響に注目=今週の米株式市場

19日の週の米株式市場では、トランプ米政権の関税政策による経済への影響を見極める上で小売企業の決算発表が注目されるとともに、足元の相場急反発が続くかどうかの試金石となりそうだ。写真は5月14日、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
[ニューヨーク 16日 ロイター] - 19日の週の米株式市場では、トランプ米政権の関税政策による経済への影響を見極める上で小売企業の決算発表が注目されるとともに、足元の相場急反発が続くかどうかの試金石となりそうだ。
今週はターゲット、ホーム・デポ、ロウズなど小売企業の決算発表が予定されている。最近は米中貿易戦争がいったん収まったため、トランプ関税により米国が景気後退に陥るとの懸念は以前に比べ薄らいでいる。
しかし小売り大手ウォルマートが15日の決算発表で、関税引き上げが理由で値上げ開始を余儀なくされると警告を発したことで、他の小売企業にもスポットライトが当たっている。
ミラー・タバクの主席市場ストラテジスト、マシュー・メーリー氏は「小売企業は信じられないほど重要になってくる。特にウォルマートの発表を見た後では」と語った。
メーリー氏は、米中が互いに100%を超える追加関税を90日間引き下げることで合意した「休戦」後にウォルマートが警告を発したことが注目されると指摘。皆が警戒していたほどの厳しい関税は撤回されたにもかかわらず、なお残った関税についてウォルマートが警告を出したことで「やや懸念が生じたのは明らかだ」と話した。
投資家は、トランプ関税が消費を減速させインフレ率を上昇させる可能性を心配してきた。
小売企業の決算発表は、米国内総生産(GDP)の3分の2以上を占める個人消費の状態をつかむ最新の手がかりにもなるだろう。
15日に発表された4月の小売売上高は、関税を見越した駆け込み購入が減ったことで大きく減速していた。消費者信頼感などのサーベイ指標も弱い。
クレセット・キャピタルのジャック・アブリン最高投資責任者は「市場心理はかなり悪化している。だが、われわれが見極める必要があるのは、家計が実際に消費を控えているかどうかだ」と話した。
19日の週はアパレル大手ラルフ・ローレンやオフプライス小売りTJXも決算を発表し、さまざまな消費セクターの状況が分かりそうだ。
IGノース・アメリカのJJ・キナハン最高経営責任者(CEO)は、消費者が「物価上昇に敏感になって」より安い製品へとグレードを下げた買い物をしているかどうかが一つの注目点だと指摘した。
米株市場は、トランプ氏が「相互関税」を発表した4月2日の相場急落から大幅に反発し、S&P500種総合指数は4月の最安値(終値ベース)から18%余り持ち直して年初来の下落分も帳消しになっている。