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金融庁、地銀のビジネスモデル検証で検査実施へ=関係筋
10月20日、金融庁は、地方銀行に持続可能なビジネスモデルの構築を促すため、問題のある地銀に対して検査を実施する。今事務年度(7月―2018年6月)の行政方針の柱に盛り込む方向で調整している。写真は都内で6月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)
[東京 20日 ロイター] - 金融庁は、地方銀行に持続可能なビジネスモデルの構築を促すため、問題のある地銀に対して検査を実施する。今事務年度(7月―2018年6月)の行政方針の柱に盛り込む方向で調整している。
複数の関係筋が20日、明らかにした。
少子高齢化や低金利の長期化により、地銀は伝統的な貸出業務で利益を稼げなくなっており、一部の地銀は有価証券投資やアパート・マンション向けローンなどに傾斜している。
こうした現状を金融庁は問題視しており、ビジネスモデルのぜい弱性が地銀の財務健全性を脅かす事態に発展する前に、課題の多い地銀には早期の経営改革を求める。
今年7月から始まった今事務年度中に問題のある地銀に対し、検査を実施する方向で検討を進めている。
地銀の収益環境は厳しさを増す一方だ。金融庁は昨年の「金融レポート」で、2025年3月期には6割を超える地銀で顧客向けサービス業務(貸出・手数料ビジネス)が赤字になるとの試算を公表。
さらに同庁が17年3月期決算をもとに算出し直したところ、前年の推計を上回るスピードで同業務の利益の減少が進み、すでに5割超の地銀が赤字になったことが判明した。
地銀の中には国債や外債などの有価証券運用、アパート・マンション向けローンなどに傾斜したり、信用格付けの低い融資先から貸出金を優先的に回収し、貸倒引当金の戻入益を増やすことで、純利益をかさ上げしている例も出ている。
金融庁は、一時的な運用利益や、競争が激しい分野での量的拡大を狙った戦略は持続せず、早期に抜本的な経営改革に取り組まなければ近い将来、自己資本比率が最低限必要な4%を割り込む地銀が出てくるのではないかと警戒している。
金融庁によると、地銀のうち、国内基準行95行の2017年3月期の自己資本比率は9.86%で、16年3月期の10.20%より低下。14年3月期に新国内基準が適用されて以降、国内基準行の自己資本比率は低下基調をたどっている。
金融庁の広報担当者は、コメントを拒否した。
*金融庁の対応を追加しました。
(布施太郎、和田崇彦 編集:田巻一彦)