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中国11月PPIは前年比+3.3%、5年ぶり高い伸び CPIも加速

12月9日、中国国家統計局が9日発表した11月の生産者物価指数(PPI)は前年比3.3%上昇し、2011年10月以来約5年ぶりの高い伸びを記録した。写真は上海で10月撮影(2016年 ロイター/Aly Song)
[北京 9日 ロイター] - 中国国家統計局が9日発表した11月の生産者物価指数(PPI)は前年比3.3%上昇し、2011年10月以来約5年ぶりの高い伸びを記録した。消費者物価指数(CPI)も2.3%上昇し、4月以来の高い上昇率となった。
11月のPPIはアナリスト予想の2.2%上昇を上回った。石炭や鉄鋼など原材料価格の上昇が押し上げ要因だった。10月の1.2%から伸びが加速した。
CPIもアナリスト予想の2.2%上昇を上回り、前月の2.1%から伸びが加速。食品価格の上昇が全体を押し上げた。
中国では政府のインフラ支出や住宅市場の活況を背景とする建設ブームで建設資材の価格が上昇している。鉱業部門などでの過剰生産能力削減に向けた政府の取り組みも価格押し上げ要因となっている。
資源や建材の価格上昇で鉱工業部門の企業利益が増え、債務の返済が進むと期待されている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)はリサーチノートで「(PPIの急上昇は)中国が何年も続いたデフレから抜け出したとの当行の見方を確認するものだ」と指摘した。
ANZは鉄鋼をはじめとする金属や石炭の価格上昇がPPI上昇分の半分近くを占めたと推定し、価格上昇は2017年まで続く可能性があると予想。
それでもなお、食品価格の影響が大きいCPIよりもPPIのほうが、経済活動や金利との相関が強いとの見方を示した。
国内製造業では製品価格の値上げによって生産コストの上昇を転嫁する動きが広がっているが、アナリストらはCPIに波及するには時間を要するため、中銀の政策にすぐに影響するものではないとみている。
11月の物価上昇率は控えめな数字だったものの、データを受けて、中国人民銀行(中央銀行)が追加の金融緩和を急がないとの見方が強まり、金融引き締めの開始時期をめぐる憶測も飛び交い始めている。
人民銀行は昨年10月以来、利下げを行っていない。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の中国アナリスト、ダン・ワン氏は「人民銀に緊急の利上げを求める圧力は依然存在しないが、11月のインフレ圧力の高まりは人民元レートの下落圧力とあいまって、金融引き締めがEIUの予想よりも早期に始まるリスクを強調している」と指摘。同氏は現在、人民銀が来年第4・四半期に利上げを開始すると予想している。
キャピタル・エコノミクスの中国エコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「きょうのデータは人民銀による金融緩和の可能性が一段と低下したことを示している。人民銀が銀行の預金準備率を引き下げる必要性は考えられない」と語った。
*内容を追加します。