コラム

コロナのワクチンは1年で完成した、花粉症はどうにかならないの?

2021年04月05日(月)11時45分
タイムマシン

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<コロナ対策のため、政府の秘密組織である特殊チームがタイムマシンで過去に戻った――>

【対策】
20XX年、日本は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に悩まされていた。

政府は「マスクの着用」を訴えたが、国民はなかなか徹底することができなかった。感染者数は増えるばかりだった。

そこで政府の秘密組織である特殊チームが、タイムマシンで過去に戻り、対策を打ってくることにした。

大量のスギの苗木を植えてきたのである。

◇ ◇ ◇

昨年の秋から始まった新型コロナウイルス感染症の第3波は、年末年始の大きな峠を越えて、なんとか減少傾向に転じた。

1月には2度目の緊急事態宣言も発令されたが、さすがの日本人も1度目のときほどの自粛には至らなかったようである。

それでも感染者数や死者数が多くの国々よりも抑えられているのは、国民の地道な努力のたまものであろう。

春が深まっていけば、より温暖になってくる気候条件の影響から、感染者数がさらに抑えられていくのではないかという期待の声も聞こえてくる。のんびりと何の気兼ねもなく花々の香りを楽しめる日本の春を、早く取り戻したい。

しかし、日本の春における「負の風物詩」となってしまっているのがスギやヒノキによる花粉症である。今やすっかり日本人の哀しき国民病の1つとなってしまった。

このような状態が招かれてしまった背景には、実は日本の近現代史の歩みが投影されている。

戦時中、資材や燃料として木材が大量に必要となったため、多くの木々が伐採された。戦後、そのような荒廃した山林には「将来の日本人にも喜ばれる」との思いもあって、一気に植林が進められた。

主に選ばれたのは、成長が早く、加工しやすくて用途の広いスギであった。

私も20代後半に花粉症を発症するまでは、春が最も好きな季節であったが、今ではそのイメージも大きく変わってしまった。

朝から2種類の目薬をさし、顔面に「イオンの力で花粉をブロック」なる触れ込みのスプレーを小まめにシュー。もちろんマスクをして、医師から処方された薬をせっせと飲む。

それでも、花粉の飛散具合によっては目や喉がかゆくなり、鼻はムズムズ。原稿が遅れるのは仕方がない。

私がマスクをしてステイホームしているのは、コロナだけが理由ではないのである。

プロフィール
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ウィーワーク、再建計画を裁判所が承認 破産法脱却

ビジネス

米インフレは2%目標へ、利下げ検討は時期尚早=ダラ

ワールド

金正恩氏、超大型多連装ロケット砲発射訓練を指導=朝

ビジネス

日鉄のUSスチール買収、米国以外の規制当局がすべて
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカで増加中...導入企業が語った「効果と副作用」

  • 2

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 3

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程でクラスター弾搭載可能なATACMS

  • 4

    地球の水不足が深刻化...今世紀末までに世界人口の66…

  • 5

    F-16はまだか?スウェーデン製グリペン戦闘機の引き…

  • 6

    国立大学「学費3倍」値上げ議論の根本的な間違い...…

  • 7

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 8

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 9

    AI自体を製品にするな=サム・アルトマン氏からスタ…

  • 10

    EVと太陽電池に「過剰生産能力」はあるのか?

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 8

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story