コラム

国内唯一の地質時代名「チバニアン」の成り立ちと意義

2022年05月31日(火)11時30分

2018年には、「チバニアン」としての国際的な評価に先駆けて、国の天然記念物(地質鉱物)に指定されました。約77万年前に起こった地磁気逆転の前後の地層が容易に観察できること、年代が特定された火山灰層とともに観察される場所であること、当時の環境を示す花粉やプランクトンなどの微化石が地層中に多く含まれていることなどが理由です。

現在、地磁気は弱まっており、およそ千数百年後にN極とS極が逆転する可能性があると考えられています。地磁気が弱くなると寒冷化などの気候変動が起きる可能性があります。チバニアンを研究することで、地磁気反転の過程や、生物がどのように対応していったのかが分かるかもしれません。

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プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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