コラム

モンゴルの牧畜の死骸はプラスチックまみれ......朝青龍が挑む「羊たちの沈黙」

2019年02月09日(土)15時40分

鯨を特別視する欧米はついに重い腰を上げて、プラスチック製品の規制に前向きな姿勢を示すようになった、と遊牧民社会でプラスチックごみの調査研究をしてきた私にはそう見える。

海洋プラスチックごみ問題については、カナダで昨年6月に開催されたG7(主要国首脳会議)でも議題に。40年までに100%回収を数値目標とした「海洋プラスチック憲章」が採択されている。しかし、アメリカや中国など大国が自国の経済活動が制約されるのを懸念し、抵抗を示している。

今年6月、20カ国・地域(G20)首脳会議が大阪で開かれる。安倍晋三首相はプラスチックごみによる海洋汚染問題に取り組む姿勢を示しているし、1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも既にそうした趣旨の演説をしている。

日本が先頭に立ってプラスチックごみ問題に取り組む際には、欧米が重視する海の鯨だけでなく、広大なユーラシアの乾燥地に生息する羊や牛の胃袋にも配慮してほしい。欧米の鯨重視の姿勢にはイデオロギーや政治的な思惑も見え隠れする。そうしたしがらみのない羊と牛こそ、全人類の問題として合意しやすいはずだ。

<本誌2019年02月12日号掲載>

※2019年2月12日号(2月5日発売)は「袋小路の英国:EU離脱3つのシナリオ」特集。なぜもめている? 結局どうなる? 分かりにくさばかりが増すブレグジットを超解説。暗雲漂うブレグジットの3つのシナリオとは? 焦点となっている「バックストップ」とは何か。交渉の行く末はどうなるのか。

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プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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