コラム

アメリカにとって特別な首相だった安倍晋三──バイデン演説から見える深い因縁

2022年07月14日(木)17時50分

祖父・岸信介とCIAの密な関係

安倍がアメリカとの関係を重視した背景には、彼の祖父である岸信介元首相の存在があった。安倍が、祖父を政治家として非常に尊敬したことはよく知られている。その岸信介がCIAと密な関係を築いていたことは歴史的な事実だが、その流れが安倍にまで繋がっていたことを考えると、バイデンがこの場所からスピーチをしたことは非常に感慨深い。

岸信介は第二次大戦時、商工大臣であり、閣僚だった。そんなことから敗戦後は、A級戦犯容疑で巣鴨プリズンに収監されていた。ただ不起訴になって、1948年に釈放されている。

その後は1955年に「自由党」と「日本民主党」が一つになる「保守合同」で自由民主党が誕生する大きな役割を果たすのだが、その際にアメリカ側と深く繋がっていたのが、岸信介だった。実は、48年の釈放後から55年までに、岸は、米国政府など関係者と関係を深めていった。

フォスター・ダレス国務長官やCIA関係者とも深く繋がり、米ニューズウィーク誌の東京支局長から英語を教わるなどした。そして1955年11月に自民党を誕生させるのである。

そうした岸時代から安倍政権までつながってきたアメリカとの関係は、非常に興味深いものがある。

スパイチャンネル~山田敏弘」では、岸信介と安倍晋三、CIAなどについてのさらなる詳細を紐解いているので、ぜひそちらをご覧いただきたい。

プロフィール

山田敏弘

国際情勢アナリスト、国際ジャーナリスト、日本大学客員研究員。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版、MIT(マサチューセッツ工科大学)フルブライトフェローを経てフリーに。クーリエ・ジャポンITメディア・ビジネスオンライン、ニューズウィーク日本版、Forbes JAPANなどのサイトでコラム連載中。著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』、『CIAスパイ養成官』、『サイバー戦争の今』、『世界のスパイから喰いモノにされる日本』、『死体格差 異状死17万人の衝撃』。最新刊は『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』。
twitter.com/yamadajour
YouTube「スパイチャンネル」
筆者の過去記事一覧はこちら

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

欧州委、米の10%関税受け入れ報道を一蹴 現段階で

ワールド

G7、移民密輸対策で制裁検討 犯罪者標的=草案文書

ワールド

トランプ氏「ロシアのG7除外は誤り」、中国参加にも

ワールド

トランプ氏、イランに直ちに協議呼びかけ 「戦いに勝
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story