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ヴィズマーラ恵子|イタリア

デジタル化の夜明けを迎えたイタリア、EUグリーンパス始動で各国の条件をまとめてみた

iStock- Fritz Jorgensen

| ヨーロッパのグリーンパス


グリーン パスポートの目的は、 欧州連合内の自由な移動を促進し、国間の旅行と移動を可能にするもので、パスの導入により「就労・観光目的でEU内外を安全に移動する」ことが徐々にできるようになるとフォンデアライエン欧州委員会委員長はツイッターでつぶやいた。

ワクチン パスポートのアイデアは、ヨーロッパでは、今年の夏のバカンスに向けて、海外からの訪問者を歓迎したいと考えている観光業に強い国々には、強く支持されている。航空会社と観光部門のオペレーターも、ヨーロッパのイニシアチブに賛成である。

このヨーロッパグリーンパスの規則は、加盟国間の旅行にのみ関係する。
欧州連合本部によって発表された重要な部分と目新しさは、それが立法提案であるという事である。
法的拘束力のあるもので、創設条約によって提供された "移動の自由"を無視している。
ただし、EU委員会のグリーン パスは、ヨーロッパ内の旅行のみを対象としており、個々の加盟国の国内の旅行は対象外。

予防接種のパスに関する議論は、個人のプライバシー保護の問題と国の再開における公共の利益との間のバランスを求めて、全国レベルで開かれてきた。
欧州委員会委員長の ウルズラ・フォンデア・ライエン委員長は、規則のパッケージがいかなる場合でも個人データやプライバシーの保護に関して、EUデータ保護指令より厳格に規定し保護されることを保証すると言っている。


| コロナ禍でのヨーロッパ海外旅行で必要とするもの

「EUデジタルグリーンパス」はどのようにリクエストして、どこで入手することができるのか?

技術イノベーション・デジタル化担当相であるヴィットーリオ・コラーオ大臣によると、証明書は紙媒体またはデジタルフォーマットQRコード形式のどちらでも入手できると言う。
デジタル版は IO および Immuni アプリケーションでダウンロード (または Apple のウォレットに保存) することもできる。
6 月 1 日から既に稼働しており、イタリアを含む 10 か国がすでに接続して、7 か国 (ブルガリア、チェコ共和国、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、クロアチア、ポーランド) がEUグリーンパスのリリースを開始した。

出発前に、休暇の計画だけでなく、行き先の国が取っている対策を確認するようにする事は必須で、必要な要件を満たした有効な検査証明書が提示できない場合は、入国が認められなかったり出発国において航空機への搭乗を拒否されることがあるので注意したい。
場合によっては検疫や追加の検査を回避できるようになる。
open.europa.euは、27の加盟国に関する最新情報を適切なタイミングで提供している便利なサイトだ。


イタリアから(EU圏内)で新型コロナウイルスの時代に観光客がヨーロッパに旅行するには、EU共通グリーンパスだけでは不十分だという。
EU圏内でも旅行をする場合、各国それぞれ独自のルールがあるようだ。
夏のバカンスシーズンで海外旅行をする場合は、健康状態や検査結果を証明できる証明書を持っている必要がある。

それは目的地の国に依存するため、7月1日からすべての加盟国によって認識される必要があるEU共通Covidデジタル証明書「EUデジタルグリーンパス」に加え、各国の決めた入国する前にする事や条件をまとめてみた。

新型コロナウイルス感染症の予防接種、陰性検査、またはコロナウイルス感染症からの回復証明などあるが、

-いつPCRテストをする必要があるのか?
-どんな書類が必要か?
-有効期限や免除をされる対象年齢は?


| 各国が示している "イタリアからお越しの方々へ"の国ごとの措置 

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ギリシャ.png

14日.pngのサムネイル画像のサムネイル画像72時間.pngスクリーンショット 2021-06-04 13.12.31.png

ギリシャ
・強制的な7日間の検疫(自主隔離)はないがEU加盟国からのランダムなテストがある。
・公的機関または認定試験所が発行した過去9か月間の治癒証明書または、少なくとも到着の2か月前 (ただし9か月以内) に行われたPCR分子検査の証明書。
・ワクチン接種証明書(2 回接種済みまたは 1回目の接種から日数が経過している必要がある)。
・ワクチンはEMA(欧州医薬品庁) によって承認されたワクチンだけでなく、Novavax、Sinovac Biotech、Gamaleya (Sputnik)、Cansino Biologics、Sinopharm によって承認されたものでも認める。
・ギリシャ入国の72時間以内に実施される陰性分子生物学的PCR検査も受け入れられる。
・5歳未満は免除。
・証明書は、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、またはロシア語の証明書が受け入れられる。

マルタ.png72時間.pngのサムネイル画像のサムネイル画像のサムネイル画像スクリーンショット 2021-06-04 13.12.31.png

フランス.png72時間.pngのサムネイル画像のサムネイル画像のサムネイル画像スクリーンショット 2021-06-04 13.10.27.png

フランス
・PCR-Rtタイプの分子バッファーは、出発の72時間以内に実行されたものが義務付けられている。
・抗原性は認められない。
・ワクチンの 1 回目または 2 回目の接種を受けた人にも義務付けられている。
・11 歳未満は免除。

スイス.png48時間.pngスクリーンショット 2021-06-04 13.10.03.png

クロアチア.png

14日.pngのサムネイル画像のサムネイル画像72時間.pngのサムネイル画像のサムネイル画像のサムネイル画像スクリーンショット 2021-06-04 13.11.52.png

クロアチア
独自の分類システムを持つギリシャとは異なり、クロアチアでは、欧州疾病予防管理センター (ECDC) が毎週発行するカラー マップを使用する。
「緑」でない地域、したがってEU圏から入国する人が以下の場合には隔離する必要はない。
・ 到着の14 日以上前にワクチン接種完了 (Covidから治癒それを証明する必要がある場合は1回の接種で十分)
・ 過去180日間に実施された陽性検査または医師が発行した証明書、過去6か月間のCovidからの回復。
・その他のすべての人は、PCR検査による陰性証明を提供する必要がある
・7歳未満は免除。
・有効な検査がない場合は、10日間の検疫(自主隔離)。クロアチア到着後すぐに自己負担でPCR検査をし、陰性の結果が出るまで自主隔離する義務がある。

スペイン.png72時間.pngのサムネイル画像のサムネイル画像のサムネイル画像スクリーンショット 2021-06-04 13.12.14.png
スペイン
・出発の72時間前に実施されたPCR検査または簡易テストの結果が陰性である場合、自主隔離はない。
・6歳未満は免除。
・デジタル形式または紙形式で提示される証明書は、スペイン語、英語、ドイツ語、またはフランス語のオリジナルである必要がある。
・これらの言語のいずれかで取得できない場合は、公的機関によるスペイン語への翻訳を添付する必要がある。
・7月1日から、健康診断フォームへの記入が義務付けられる。

スロベニア.png7-14-22.png48時間.png

スロベニア
・一回目に接種したワクチンがファイザーの場合は7日から、モデルナ およびジョンソン・エンド・ジョンソンの場合は14日から、アストラゼネカの場合は 21日からの完全ワクチン接種証明。
・ 子供の免除なし

オーストリア.png

22日.png48時間.png72時間.pngのサムネイル画像のサムネイル画像のサムネイル画像スクリーンショット 2021-06-04 13.10.47.png

オーストリア

・簡略PCR検査の場合は出発前48時間前のもの

・10歳未満は免除。

ポルトガル.png72時間.pngのサムネイル画像のサムネイル画像のサムネイル画像スクリーンショット 2021-06-04 13.12.48.png

スクリーンショット 2021-06-02 21.21.39.png48時間.pngスクリーンショット 2021-06-04 13.12.48.png

イタリア
また、イタリアでは7月31日まで非常事態宣言が発令されており、海外への旅行および海外からの旅行に関する一般的な規律は、昨年3月2日のイタリア閣僚政令(DPCM)に含まれ、5月14日の保健大臣の命令が残っていることも覚えておく必要がある。
法令は7月30日まで有効。EU加盟国、英国、北アイルランド、スイス、アンドラ、モナコ公国、イスラエルからイタリアに帰国する場合、デジタルローカリゼーションフォームに記入する必要がある。(デジタル旅客ロケータフォーム:すべての指示はこちら

・イタリア到着の48時間前に実施された分子または抗原スワブの陰性結果を証明する文書を提示する義務がある。
・2 歳未満は免除。
・PCR検査の陰性証明またはCovidパスの証明書がない場合は、10日間の自主隔離と健康監視に身を置き、その地域の管轄保健当局の予防部門に通知し、最後に二回目のPCR検査をする必要がある。

権利の保護に関しては、特に憲法の原則の尊重とプライバシーの保護に関して、解決すべき重要な問題がまだいくつかあるという。

最初のケースは、イタリア憲法 32 条の条文違反を指摘された。憲法の規定は法的留保を定めており、強制的な健康治療は立法者のみが課すことができるとしている。予防接種パスポートの導入は、予防接種を受けていない人の移動の自由を制限することになり、結果的に個人に心理的な強制力を及ぼし、予防接種を受けることが法律で規定されていないため、強制的な健康治療に変わるリスクを伴うものである。

同じく ( 2021年3月1日に通知) は、法律で裏付けされていない予防接種パスポートの導入は違法であると繰り返し述べている。
つまり、誰が特定の会場にアクセスできるか、または特定のサービスを使用できるかを決定するためにパスの使用を許可することは、立法者の特権にすぎない。
個人データの処理への注意に関して、保証機関は、3 月 1 日付のプレス リリースで、すべての公的および民間事業者の注意を、不正確なワクチン接種データの処理から派生する可能性のある差別または基本的権利の侵害の深刻なリスクに注意を喚起した。
収集された個人データの処理における目的の制限とその最小化の原則へ準拠を保証するイタリアでの国内法を制定することが不可欠であるようだ。

| イタリアはデジタル化の夜明け


イタリアのキャッシュバックアプリとIOアプリを開発した人はディエゴ・ピアチェンティーニ:Apple とAmazon の元副社長。2 年間イタリアのデジタルアジェンダ実施の為にコミッショナーとして務めた、優秀なイタリア人がいる。

ImmuniとIOのキャッシュバックどちらも質の高いアプリである。

「私たちはデジタル化の夜明けにいます」

と、ディエゴ・ピアセンティーニ氏は言う。

2015年に9か月の準備をしてAmazon プライムデーを開始したのが、ディエゴ・ピアセンティーニ氏である。
何千人もの人々が関わった。このシステムは行政機関よりも回復力があり、柔軟性があり、機能していた。
しかし、ディエゴ・ピアセンティーニ氏は、
「私たちは世界中から批判を受けました。なぜなら、ユーザーがクリックして、コンマ数秒で製品が購入され完売になったから。」と言った。

続けて、

「サービスを作成するための設計、相互運用性、または手順に関する透明なガイドラインがあり、それらはすべて私たちの 3 年計画に含まれています。それは、この方向に投資を続け、より多くのスキルを身につけることです。次に、約900万人が既に IO というツールをダウンロードしています。IO は、市民と国家の間の取引とコミュニケーションを簡素化できます。国家は独占者であってはならず、ガイドラインを適用するシステムやアプリケーションと対話できなければなりません。それは、すべてを一人で行うことはできず、またそうすべきではありません。たとえ公共の非効率性と民間の効率性という二分法がそれほど明白でなくても、民間部門との関係を構築しなければなりません。それぞれの状況には特定の答えがあるのです。」

と、2020年12月15日のコリエーレ・デッラ・セラ紙のインタビューに答えている。

イタリアのキャッシュバックシステムのアプリを開発したときは、最初の数日間はアクセスとロードにエラーが出ており、困難なスタートだった。
問題点は、プロセスを管理できない事や相互運用性の欠如、古いシステムと通信できない古いシステムなどだ。
これらは複雑なシステムであり、独自のシステムを導入することもあったという。
12月14 日月曜日のダウンロード数は880万件を超え、次の週には220万件増加した。ダウンロードのピークは、キャッシュバック開始日の12月8日。

筆者もアプリをダウンロードするのは4日後の12月8日にしてみた。
キャッシュバックの場合、問題は支払いのバックエンド部分と Spid デジタル ID によるボリュームの管理にあった可能性があるとの事だった。
ウォレット セクションでのカードの読み込みリクエストは、最初の24時間で 230 万人以上のアクティブ ユーザーに対して、毎秒 14,000 件以上のトランザクションでピークに達した。
条件10回のトランザクションに到達した先着10万人には、さらに1,500€(約20万円)ボーナスがもらえるというので、この先着10万人に入ろうと必死に買い物を急いだ人もいるだろうが、私は、アプリのダウンロードをしたのが4日後だったので、先着10万人に入るどころか、561万人目だった。
ボーナス20万円は逃したものの、その後は、実店舗での支払いをアプリと紐付けたカードで支払い、3日後くらいには支払った金額の10%に当たる金額がアプリ内に表示されるよになり、2020年内までに条件の10回トランザクションをクリアーして、自分の指定した銀行口座へキャッシュバックのトータルが振り込まれた。

ロックダウン中だというのに、時事実上は1ヶ月以内でその実店舗でお買い物10回という条件はキツかった。
ショップは全部閉まっている。そもそも実店舗での買い物や外に出かけてショッピングする機会がない。ネットでの買い物がほとんどだったが、ネットショップでの買い物は、キャッシュバックの対象外。困ったものだった。


スーパーでの買い物やガソリンスタンドなどで無理やりカードを使い、頑張ってクリアーした感じであった。スーパーではいいが、特に無人のガソリンスタンドなどでは、カードを自動決済機に突っ込むと、かなりの確率で機械の中に飲み込まれてしまい、カードが出てこなくなってしまうという事が日常茶飯事起こるイタリア。それが日祭日だった場合は、誰も機械トラブルに対応してくれる人などいない。

もう、一貫の終わりだ。カードが誰かに抜き取られて悪用される場合もあるので、カードを止めなければいけない。想像するだけでゾッとする。リスクしかない。どうしても機械にカードを入れて支払う事を非常にためらった。

第二期分は、2021年6月30日までに50回のトランザクションが条件だ。今月いっぱいに50回実店舗で買い物をしなければいけない。
筆者はあと残すところ6回の買い物をしなければ、これまで積み上げてきた実績分のキャッシュバックを受け取る事ができないので、また無理やりにでも外に出て、店舗で買い物や食事をしてクリアーしたいと躍起になっている。

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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