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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

7歳の若き環境活動家、アニーシュワ・クンチャラくん

 アニーシュワくんは、テレビの自然番組に出演するスティーヴ・バックシャルさんに強く影響を受けている。将来の夢も、スティーヴさんのようにテレビのプレゼンターになることだ。そのせいか、明らかにカメラのこちら側に向かって話しているし話し方は、そのままテレビに出演できそうなほど完成度が高い。いちばん好きな動物は? と聞かれた時にも、「海でいちばん賢い哺乳類で、ベルーガ(シロイルカ)と呼ばれる生き物です。北極圏に生息するクジラの一種で......」と、まるで番組の脚本を読むかのような答え方をしている。

 テレビをよほど身近に感じているのか、それとも度胸があるのか、アニーシュワくんはテレビでインタビューを受けても、大人気の『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出ても、あまり緊張しないようだ。本人は好きな話をすることにただ夢中なのかもしれないけれど、その落ち着いた様子も何となく大物を予感させる。ちょっとしたやりとりを見ていても、大人の会話とあまり変わらず、7歳の子どもであることを忘れそうになる。話し方がどんなに幼くても。

 自然や生き物が好きな理由は「どの生き物もそれぞれにスーパーな力があって、もっともっと知りたいから」と答えるアニーシュワくんは、ひと昔前に生まれていたら、環境活動家ではなくて、もっとシンプルに「自然オタク」になっていたのかもしれない。環境保護の問題はもう避けて通れない時代になっているのだろう。特にこれからを生きる若い世代にとっては。いろいろな意味で今どきの子どもなのだ、アニーシュワくんは。

アニーシュワくんのTwitterアカウントの投稿より。アニーシュワくんは自然についての自作の絵もSNSやウェブサイトに掲載している。これが素朴ながら上手だ。詩は韻も踏んでいるところもある。単純に才能があるのか、自然好きに突き動かされて上手になるのか、気になる。

すでにテレビの自然番組に招かれて出演し始めているアニーシュワくんだけれど、彼の啓蒙活動は身近にも結果が出始めている。お父さんを巻き込んでYouTubeを始めた上、自宅の庭に着々と緑を増やして昆虫や鳥が集まりやすいようにした。校長先生にかけあって、友だちと一緒に校庭に種を植えた。お父さんによれば、アニーシュワくんは「次々にアイディアを出してきて止まらない」そうだ。子どもの自主性を尊重して見守る周りの大人たちの支えがあってこその若き環境活動家だけれど、その大人たちも、アニーシュワくんの発想と行動力に感心し、よい影響を受けているようだ。

『ブリテンズ・ゴット・タレント』でアニーシュワくんは4人の審査員全員から「イエス!(合格)」をもらって、次に勝ち進むことになった。満点での合格が決まって「オー、イエー!(やったー!)」と叫ぶ姿は、やはり7歳の男の子だ。賢くてチャーミングな若き環境活動家のこれからに注目していきたい。

アニーシュワくんが作っている動画や彼が描いた生き物の絵が見られるウェブサイトはこちら、Instagramのアカウントはこちら、Twitterのアカウントはこちら、Facebookのアカウントはこちら

 

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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