コラム

新型コロナウイルス問題が明るみにした無駄な規制リスト

2020年04月09日(木)17時00分
新型コロナウイルス問題が明るみにした無駄な規制リスト

コロナ対応でNYのクオモ知事は評価をあげているが...... REUTERS/Carlo Allegri

<各国政府による強権的な施策は、これまで政府が課していた規制に、その存在の必要性がない不要不急な規制を明るみにした......>

4月7日安倍首相が7都道府県に対して緊急事態宣言を発令し、過去の感染症対策とは異なる段階の措置に踏み切ることを決定した。日本政府が有する権限では、欧米で実施されている都市封鎖を行うことできず、交通機関、施設、国民に対する要請・指示に基づく対応が中心となる。

そのため、日本社会では新型コロナウイルスだけでなく、日本政府が求める自粛、そこから派生する社会的な私刑による抑圧的な雰囲気が形成されつつある。日本の状況は私有財産権の保護が重視されていると捉えることも可能だが、財産権に対する補償が伴わない自粛を過度に肯定することで、政府に財政制約を無視した事実上の権力行使の機会を与えていると懸念する声もある。

一方、欧米各国では政府による強権的な都市封鎖が実施されており、それに伴う補償は手厚くなされる場合もあるが、国民の財産権を始めとした諸権利が政府介入によって著しく侵害された状況が発生している。

そのため、自主独立精神に富むリバタリアンの人々の間では、政府が実施する諸々の政策こそが経済・社会に害を与えるものとして問題視されている。また、政府による巨額の経済対策についても、政府の無制限な肥大化に繋がるものとして警鐘が鳴らされている。

前回記事である「トランプ大統領の新型コロナウイルス対策をリバタリアン目線から斬る」では、リバタリアンがどのようにトランプ政権の対策を認識しているか、彼らの視点から批判的な意見を幾つか紹介した。

しかし、恐怖や諦観を拡大する気が滅入る話ばかりをしても面白くないので、今回は新型コロナウイルスに伴う対応の副産物として、リバタリアンの視点から皮肉混じりに肯定的に評価されている事例を取り上げてみようと思う。

実は最初から存在する意味がなかった多くの規制

リバタリアンにとっては政府が課す規制は、人々の自由を制約する不当なものであり、それらは常に廃止を求める批判の対象となっている。

今回の新型コロナウイルス問題は政府が課していた規制の中でも、その存在の必要性がない不要不急な規制を明るみにした。これらの規制は、通常の場合は国民を保護するためとして正当化されているが、本物の危機の中で不要と看做されたことで実は最初から存在する意味がなかったのではないか、として皮肉と嘲笑の対象となっている。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)

ニュース速報

ワールド

S&P、ベラルーシの格付け「下振れリスク高まる」 

ワールド

豪失業率、7月は22年ぶり高水準 就業者数は増加

ワールド

原油先物が小幅安、在庫減受け前日は急伸

ワールド

NZ、新型コロナ感染源特定に全力 鎮静化前の拡大も

MAGAZINE

特集:人生を変えた55冊

2020-8・11号(8/ 4発売)

コロナ自粛の夏休みは読書で自分を高めるチャンス──世界と日本の著名人が教える「価値観を揺さぶられた本

※次号は8/18(火)発売となります。

人気ランキング

  • 1

    韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる

  • 2

    バイデン陣営はこれで「ターボ全開」? 副大統領候補ハリス指名の意味

  • 3

    李登輝前総統の逝去報道──日韓の温度差

  • 4

    アメリカ北東部でコロナ感染が沈静化しているのはな…

  • 5

    新型コロナワクチンが開発されても、米国の3人に1人…

  • 6

    『ゴースト・オブ・ツシマ』でサムライ映画の世界を…

  • 7

    中国、輸入冷凍食品の包装に新型コロナウイルス 一…

  • 8

    日本初のアフリカ人学長が「価値観」を揺さぶられた5…

  • 9

    トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

  • 10

    韓国・文在寅の支持率9カ月ぶりの低水準に ソウル住…

  • 1

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 2

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 3

    トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

  • 4

    『レオン』が描いた少女の性と「男性目線」

  • 5

    韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪…

  • 6

    陽性者急増、名古屋の医師が懸念する「市中感染」の…

  • 7

    李登輝前総統の逝去報道──日韓の温度差

  • 8

    アメリカ北東部でコロナ感染が沈静化しているのはな…

  • 9

    日本人の「集団主義」「同調圧力」には良い面も悪い…

  • 10

    【レバノン大爆発】日頃の戦争を上回る最大の悲劇に…

  • 1

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 2

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 3

    中国から米国に「謎の種」が送りつけられている......当局は「植えないで」と呼びかけ

  • 4

    韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット …

  • 5

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 6

    宇宙観測史上、最も近くで撮影された「驚異の」太陽…

  • 7

    アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階…

  • 8

    戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路

  • 9

    中国のスーパースプレッダー、エレベーターに一度乗…

  • 10

    【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスク…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!