コラム

奇跡の戦後経済を食いつぶしてきた日本よ、今こそ「第2の開国」を

2020年12月09日(水)19時00分
石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)

日本出身ではない私から見れば、こんな小さな国=日本が敗戦後の焼け野原から世界第2位の経済大国になったなんて、アジアの奇跡である。戦後のどの起業家や政治家の話を読んでも感嘆してしまう。外部の知識や技術を貪欲に取り入れ、勤勉で我慢強く、規律正しく、国を発展させてきた。

それなのにこの十数年間は、日本は先人たちが築いた豊かな社会の上にずっとあぐらをかいて、遺産を食いつぶしてきたと思う。英語、外国人、多様化、教育、働き方、賃金......これらにおいて大きな変化を望まず、社会をアップデートさせてこなかった。

国と東京都に外資企業誘致策があることは知っている。最近も金融庁は来年1月から、海外ファンドの新規参入を促すために登録手続きと監督に英語で対応すると発表した。特定技能資格に人が集まらないことや、技能実習生が厳しい扱いに耐えかねて逃げ出す話もやっとニュースになるようになってきた。変革に向けて、日本の重い腰はやっと上がりつつあると信じたい。

toykyoeye_ishino_profile_w100.jpg石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。@IshinoShahran

<本誌2020年12月1日号掲載>

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