なぜプーチンは歴史を語り続けるのか...「日本史もよく勉強している」
2024年2月9日、元米FOXニュース司会者で保守系コメンテーターのタッカー・カールソンから2時間に及ぶインタビューを受けた。ロシアのウクライナ侵攻後初の海外メディア相手のインタビューだったので、これは世界的に大きな注目を集めた(*3)。
インタビューの冒頭、プーチン大統領はカールソンに対して、「(このインタビューは)トークショーなのか、それとも真剣な会話なのか」と質している。
カールソンが「真剣な会話です」と答えると、「あなたは歴史を勉強したと承知しているので、まずは30秒か1分間ロシアの歴史についてお話ししたい」と言って、実際は30分間にもわたってロシアとウクライナの歴史について延々と「独白」を始めた。
プーチンは、カールソンが米コネチカット州のトリニティ・カレッジで歴史学の学位を取っていることを事前に調べていた。
ここには会う前に相手のことを徹底的に調べるKGB仕込みのインテリジェンス・アプローチの特徴が出ており、同時に、十分な準備をした上でインタビューに応じていることがうかがえる。
このインタビューの内容を仔細に検証すると、プーチンにとっては、実は現在の政策というよりもロシアの歴史を語ることに主眼があったことがわかる。さらに、プーチン大統領は歴史を「勉強」するにとどまらず、歴史に関する自分の主張を正当化する長文の論文を発表している。
2020年6月の「偉大なる勝利から75年、歴史と未来に対する共通の責任」と題する論文において、彼は「1939年8月23日に締結された独ソ不可侵条約は、ソ連にとって安全保障上のやむをえない措置であり、第二次大戦の引き金を引いたのは、対独宥和の象徴である1938年のミュンヘン会議である」と論じている(*4)。





