最新記事
アメリカ離れ

トランプが「NATOのアメリカ離れ」を加速させている? 加盟国が行き着く「アメリカの敵国」とは

The NATO Countries Favoring China Over The US

2026年1月19日(月)09時10分
ブレンダン・コール、ジョン・フェン

グリーンランド侵攻でNATOは終焉を迎える?

NATO加盟国による対米評価は、アメリカによるイランへの軍事攻撃の可能性をめぐる緊張にも左右されうる。

現在、イランの現体制を脅かす抗議活動が行われており、イラン政府はこれに弾圧をもって応えている。イラン政府の弾圧に対する報復として、アメリカ軍がベネズエラのニコラス・マドゥロ夫妻を拘束した記憶も新しい中、トランプが攻撃命令を出すか否かが問われている状況だ。


米首都ワシントンのシンクタンク民主主義防衛財団(FDD)で中国問題を専門とするクレイグ・シングルトンは、トランプがイランへの攻撃命令を出した場合、中国政府は「言葉での抑制的な対応にとどめるだろう」と本誌に語った。

その理由として、2週間という短期間にベネズエラとイランという2つの地域で軍事作戦が実施された場合、中国政府内の政策決定者にとっては、「アメリカの軍事力はいまだに圧倒的だ。アメリカは軍事作戦に伴うリスクを容認可能と判断すれば、確実に行動に移す」という基本認識が強化されることになるからだという。

中国は表向きには非難や自制を呼びかけるだろうが、中国政府は「アメリカが行動を決断したとき、中国が築いてきた各国との関係を用いても、アメリカの行動を抑止する力がない」という現実を痛感する。

「ベネズエラでそれは地域的に明らかになった。イランを通じて世界規模で再確認させられることになる」

2022年以降、NATOの結束は試され続けている。ロシアによるウクライナ侵攻に対しては、中国は中立を表明しつつも一定の支援を行ってきた。

また、米中関係も悪化の一途をたどっており、貿易戦争も継続中だ。南欧・中欧への中国資本が流入しており、トランプはNATOへの関与に対する疑念を示す発言を繰り返している。

今年に入って、トランプはグリーンランドを取得する意志を再表明した。これを受けNATO加盟国の世論はさらに動く可能性がある。トランプは軍事力行使の可能性も排除していない。これに対し、デンマーク政府は「グリーンランド取得のための軍事力行使はNATOの終焉を意味する」と警告している。

【関連記事】
NATOは死に、中ロは歓喜する...トランプがグリーンランドを手に入れたら何が起きるか
麻薬?石油?体制転覆?――マドゥロ拘束、トランプ政権の「本当の狙い」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油先物横ばい、イラン抗議デモ沈静化で供給懸念後退

ビジネス

消費減税、選択肢として排除されていない=木原官房長

ワールド

ミュンヘン安保会議、イラン外相招待取り消し 反政府

ビジネス

英政府は大胆な改革をとシンクタンク、政策迷走に苦言
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中