人助け? それとも貧困層からの搾取? 20兆円市場に成長した「代理出産」の光と影
SURROGACY UNDER SUSPICION
コロンビアは代理出産が禁止された国々から「顧客」が殺到する国として知られ、悪徳業者が代理母を貧困地域で募集する慣行が問題になっている。代理母となる女性たちは医療的ケアや法的支援を全く受けられず、妊娠合併症や契約上のトラブルなどのリスクを知らないまま、出産契約を結ぶケースも少なくない。
「子供を望む多数のカップルが『生殖ツーリズム』で欧州から中南米に押し寄せている。これは看過できない状況だ」と、コロンビアで代理母の権利を守るために奮闘している弁護士のマリア・クリスティナ・ウルタドは訴える。
コロンビアには代理出産に関する法律がなく、事実上野放し状態にある。そのため少なくとも45の産科クリニックが代理出産サービスを提供。その多くが仲介業者に代理母の斡旋を依頼している。代理母の報酬は1万800ドル前後と、日割りではこの国の最低賃金の3倍近い稼ぎになる。
コロンビアでも23年に規制法案が議会に提出されたが不成立に終わった。いずれにせよ規制だけでは不十分だと批判派は言う。
意外なことに、今では保守派だけでなく、リベラル派の間でも代理出産に批判的な声が多い。保守の牙城とも言うべきヘリテージ財団は伝統的な家族形態を脅かすという理由で代理出産を批判。リベラル派として知られた前ローマ教皇フランシスコも生前、代理出産を「嘆かわしい慣行」と呼び、国際法で禁止すべきだと述べていた。過激なフェミニストが搾取だとして代理出産を非難してきたのは周知のとおりだ。





