人助け? それとも貧困層からの搾取? 20兆円市場に成長した「代理出産」の光と影
SURROGACY UNDER SUSPICION
代理出産の交渉が大人同士だけで進められていると、キャントウェルは指摘する。「第三者を介して『注文』される子供が商品扱いされることや子供のアイデンティティーはほとんど問題にされない......子供のことを真っ先に考えるべきなのに」
ヨーロッパでは既に法的規制の動きが強まりつつある。欧州議会は商業的な代理出産は「経済的利益などを得るために女性の体を搾取する行為」であるとして非難決議を採択し禁止を呼びかけている。イタリア、ドイツ、スペインは既に禁止する方向に舵を切っている。
イタリアでは以前から代理出産は禁止されていたが、保守派のジョルジャ・メローニ首相率いる与党は国外での契約も含めた全面的な禁止法案をまとめ、昨年議会で成立させた。
アメリカでは代理出産の法的扱いは州によって異なり、カリフォルニア州など約半数の州は法律で明確に認可し規制を行っている。
しかし国や地域によって法律が異なれば、厄介な問題が生じる。代理出産が認められている国や地域で生まれた子供でも依頼者の母国が代理出産を禁じている場合、法的に親子として認められない場合があるのだ。こうした問題を解決する国際的なルールがなければ、依頼したカップルも生まれた子供も親権や市民権を認められず、何年間も法的に不安定な状態に置かれることになる。





