最新記事
韓国政治

韓国戒厳令1年、「国民主権の日」制定へ 「光の革命」を記念する李在明と獄中の尹錫悦

2025年12月4日(木)11時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「V0」の影──戒厳令の真の動機は

実は、尹前大統領がなぜあの夜に戒厳令を発動したのか、その真の動機について新たな証言が出ている。韓国の保守系紙「中央日報」は12月2日、尹前大統領の側近たちへのインタビュー記事を掲載した。記事中のB氏は「当時の権力内部の状況、政局の状況を知る人々は皆、金建希女史のために戒厳したと思っている」と率直に語っている。

12歳年下の妻に頭が上がらないという噂が絶えなかった尹前大統領。その愛してやまない妻に捜査の手が伸びたことが、最終的に戒厳令を後押ししたという見方だ。尹前大統領は繰り返し「反国家勢力」である共に民主党を戒厳の理由として挙げているが、側近たちの証言は異なる現実を示している。

1年後の韓国──民主主義は守られたが

戒厳令発動から1年。韓国は現職大統領として初めて逮捕・起訴された尹前大統領と、その妻として初めて勾留起訴された金建希という憲政史上前例のない事態を経験した。尹前大統領は今年4月4日に憲法裁判所の弾劾認容決定により罷免され、「内乱首魁」容疑で裁判を受けている。有罪の場合、死刑または無期懲役が科される重罪だ。

李在明大統領は6月4日に就任し、「光の革命」の成果を継承すると宣言した。しかし韓国政治はまだ癒えていない。李大統領が繰り返し強調する「正義ある統合」は、単なるスローガンなのか、それとも本当に実現可能なビジョンなのか。1年が経った今も、内乱が内乱だったのか、戒厳令が正当だったのか、その判断には決着がついていない。尹前大統領の一審判決は来年2月中に出される見通しだ。金建希の判決は1月28日。これらの裁判の結果が、韓国政治の次の章を決定することになるだろう。

さらに12月3日が「国民主権の日」として記憶されるのか、それともただの政治的パフォーマンスとして忘れ去られるのか。李在明大統領が目指す「正義ある統合」が実現するのか、それとも新たな分裂を生むのか。戒厳令から1年、韓国政治はまだ答えを出せていない。

ただ一つ確かなことは、あの夜に市民たちが示した勇気と連帯が、韓国民主主義の新たな礎石になったということだ。李大統領が言うように、「彼らは大きく不義だったが、我々国民はこれ以上なく正義だった」のである。

ニューズウィーク日本版 トランプのイラン攻撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月10号(3月3日発売)は「トランプのイラン攻撃」特集。核・ミサイル開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。アメリカとイランの全面戦争は始まるのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン戦争は2週目に、トランプ氏「無条件降伏」求め

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 2
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 3
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 7
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園…
  • 8
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中