【破綻からの逆襲】監視カメラ「1000カ所」で強盗激減、殺人も過去最少に――「絶望のデトロイト」を立て直した方法
THE MOTOR CITY COMEBACK

「誇りは戻ってきた」と、ダガンは言う。「市民は街にプライドを持っている。今では市外から客が来ると、川辺に連れて行ったり、(新しい)駅を見せたりする。まだ先は長いが、リバーフロントの一帯は市民を一つにする場所になった」
ダガンが14年に市長に就任した頃とは、まるで別の街だ。当時はアメリカ史上最大の地方自治体の破産申請を行った直後で、市は総額180億ドルの負債を抱えていた。
街灯の半数近くが消えたままで、空き家が4万7000戸以上、放火によって焼失した建物も年間1万2000戸あった。失業率は大不況の余波で20%近くに上った。全米が08年のリーマン・ショックからゆっくりと、だが着実に立ち直るなか、デトロイトはまたも取り残されたように見えた。
「全国メディアがデトロイトを取り上げるのは、工場閉鎖や財政破綻、貧困といった話題ばかりだった」と、ダガンは本誌に語った。「表紙に『破産』という見出しを載せた雑誌が、今も自宅に残っている」
投資家たちを味方に付けた
13年の市長選で、ダガンは候補者名簿にすら載っていなかった。居住要件を満たしていないことを理由に民主党予備選から外されると、投票用紙に名前を記入する候補者としての出馬ながら、見事に当選。デトロイトでは40年ぶりの白人市長だった。





