F35はなぜ重要か──加速する戦略的輸出がパワーバランスを揺るがす
World Map Shows Where US Has Sold F-35 Fighter Jets
中東ではイスラエルが唯一の運用国であり、「F35Iアディール」と呼ばれる独自改修型を75機保有している。米国が長年維持してきた中東の軍事バランスに一石を投じるものであり、軍事外交の観点からも歴史的な意義を持つ。
その人気とは裏腹に、F35のコストと技術的な課題も無視できない。開発開始から最後の1機が退役・廃棄されるまでのライフサイクル全体のコストは、約2兆ドルに達する見込みであり、その多くは2080年代まで続く維持・運用費が占める。
調達予算も米国自身が計画を見直しており、2025年度の国防予算ではF35の総発注数は当初計画を下回っている。
こうしたコストやリスクを理由に、代替案を模索する国々もある。アップグレードされたF16はステルス性能ではF35に劣るものの、費用対効果を重視する国にとっては競争力のある選択肢となっている。
それでもF35の最新機能に魅力を感じ、空軍近代化の一環として導入を検討し続ける国は少なくない。
F35は今後も各国の関心を集め続けるとみられる。ステルス性能、高度なセンサー、ネットワーク能力を備えた戦闘機を導入しようとする動きは、欧州・アジアを含め広がっている。





