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ECB利下げ、大幅な見通しの変化必要=アイルランド中銀総裁

2025年11月20日(木)19時31分

2022年12月5日、ロイターのインタビューに応じるアイルランド中央銀行のマクルーフ総裁。REUTERS/Clodagh Kilcoyne

Balazs Koranyi

[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのマクルーフ・アイルランド中銀総裁は20日、ユーロ圏経済は予想通りに推移しているとの認識を示した。ECBによる追加利下げを支持するには、この軌道から明確に外れる動きが必要があると述べた。

ECBは来月、2028年分を含む新たな経済予測を発表するが、マクルーフ氏は大幅な変化が含まれる可能性は低いとの見方を示した。

ロイターのインタビューで、「実体経済で起きていることに照らすと、大きな変化はないと予想している」とし「実際の結果は予測とかなり一致しているようだ」と述べた。

金利について「現在の水準に満足している」と述べ、政策は「良好な状態」にあるとするECBの見解を繰り返した。その上で「政策変更にはかなり説得力のある証拠が必要になるだろう」と語った。

インフレ率に関しては、目標を下回るリスクと上回るリスクがおおむね均衡しているとの見方を示した。

「来年の数字がどうなるかについては全く心配していない。翌年には元に戻るからだ」と述べた。インフレ期待は安定していると指摘し、「予測のわずかなぶれに反応することには極めて慎重であるべきだ」と警鐘を鳴らした。

ECBはインフレ率が目標を大きく下回る状態の長期化を最も懸念すべきであり、表面的な数字だけでなく、その根本的な要因に目を向ける必要があると訴えた。

「予測が1.8%程度ならそれほど懸念することはないだろう」と述べた。

ロイター調査によると、エコノミストらは今後数年間、金利が横ばいで推移すると予想している。

しかしマクルーフ氏は、見通しを巡るリスクは依然として多く、環境は急速に悪化する恐れがあると指摘。ECBは「会合ごと」のアプローチを堅持し、政策担当者らは方針変更に柔軟でなければならないと述べた。

さらに世界の貿易秩序は揺らぎ、ウクライナでの戦争が続き、米国株は過大評価され、信用基準は緩み、不透明な民間信用市場は急速に拡大しており、政治環境も不透明との見方を示した。

こうした要因が複合した状況を懸念していると述べ、「12月になっても、こうした不確実性の多くが解消されることはないだろう」との見通しを示した。

ロイター
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