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小学校低学年ほど暴力増加「登校した瞬間、友だちに殴りかかる」...大人が知らない校内暴力の今

2025年11月13日(木)09時00分
石井光太(ノンフィクション作家)

「無条件に褒める親の育て方が一因です」

「また、"かまってチャン"になるのは親の育て方が一因です。今の親は子どもの成功体験を一から十まで用意して、無条件に褒める傾向にあります。そのため子どもは常に誰かに褒めてもらわなければ気が済まなくなります。それで思い通りにならなければパニックを起こす。こういう子どもたちが小学校に上がってきているのが今の状況なのです。

小学校の人間関係は、保育園や幼稚園のそれよりはるかに複雑であり、教員にしても一々付き添って指導することはできません。そのため、年齢相応の対人スキルがない子は、あちらこちらでトラブルを起こしてしまう。それが低学年の子たちの校内暴力の増加につながっているのです」

むろん、小学校生活を過ごしてく中で、対人スキルを磨いて周囲とうまくやれる子もいる。ただ、そうでない子は、学校生活になじめず、息苦しさを感じ、不登校になることもあるらしい。

もう一つ、本書の取材で明らかになった、新しい子どもの暴力を紹介したい。先生方が「登校直後の校内暴力」と呼んでいる現象だ。

昔は、登校の時間帯には子どもは平穏に過ごし、途中の授業や休み時間にいざこざが起きて、暴力沙汰に発展するというのがトラブルの定番だった。

一方、最近増えているのが、登校時間中に発生する暴力トラブルだ。A君がランドセルを背負って教室に入ったと思ったら、次の瞬間席についていたB君にいきなり殴りかかるのである。

どうしてそんなことが起こるのだろう。

別の先生は次のように話す。

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