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【独占インタビュー】「トランプは左派対処を学ぶのに1期かかった」...帰ってきたリズ・トラス、掲げる「イギリス版MAGA」に高市政権が学べること

BRITAIN’S MAGA MOMENT

2025年11月5日(水)08時30分
ジェームズ・ビッカートン(本誌記者)
イギリスにも「革命」を、とトラスは主張する LUKE SMITH

イギリスにも「革命」を、とトラスは主張する LUKE SMITH

<くすぶる国民の不満を起爆剤にして、復活を狙う「史上最短」首相の手本はあの人物>


▼目次
トランプの「革命」を手本に

2020年10月25日、リズ・トラスは「ダウニング街10番地」を去り、49日というイギリス史上最短の首相在任期間に終止符を打った。政治家としてはおしまいだ──彼女がそう思ったとしてもおかしくなかった。

トラスの任期を特徴付けたのは2つの出来事──エリザベス女王逝去と、年450億ポンドの大規模減税を盛り込んだ「ミニ予算(小型補正予算)」だ。ミニ予算は金融市場を混乱に陥れ、それが引き金となってトラスは保守党議員からの信頼を失い、政権崩壊につながった。

しかし、彼女は戻ってきた。何世紀かに1度の大変革を遂げられるかの瀬戸際にあるイギリス右派への過激なメッセージを携えて。

イギリスにも独自の「一時的MAGA」が必要だと、トラスは本誌に語った。MAGAとは、ドナルド・トランプを2度にわたって米大統領の座に導いたスローガン「アメリカを再び偉大に」の略語だ。

目下、イギリスの政局は緊迫している。昨年7月末から8月にかけて国内各地で反移民暴動が相次いだ。イングランド北西部サウスポートのダンス教室で少女3人が殺害され、犯人は移民だという間違った噂が流れたのがきっかけだった。

今年の夏、当局は全国各地の難民申請者用のホテル周辺で頻発した抗議活動を必死に封じ込めようとした。ロンドンでは9月13日、移民とイスラム教を激しく批判する極右活動家トミー・ロビンソン(本名スティーブン・ヤクスリーレノン)が呼びかけた反移民デモ「ユナイト・ザ・キングダム(王国を連合させろ)」に、最大15万人が参加した。デモの名はイギリスの正式名称の一部である「ユナイテッド・キングダム(連合王国)」をもじったものだ。

トラスに言わせれば、こうした状況は──ナイジェル・ファラージュ率いる極右政党リフォームUKが、労働党と保守党の二大政党に対して世論調査の支持率でリードを広げている現状と相まって──「民衆の蜂起」の証拠だ。

テーマは「チャーリー・カーク、イギリス版MAGA、活動家トミー・ロビンソン」、本誌ビッカートンのインタビューに答えるトラス元首相

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