「民主主義は高齢者に乗っ取られた」...年金制度改革が頓挫し、政治が行き詰まる欧州各国
<改革は常に圧力下でしか成立しない>
この10年間のギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペインや1990年代のスウェーデンように年金制度改革が実現した国々は、金融市場や国際的な貸し手からしばしば強い圧力を受けた。
イタリアのエルサ・フォルネロ労働大臣は2011年、最低退職年齢の引き上げと多くの年金受給者に対する年間物価調整の廃止した際、記者会見で涙を流した。こうした制度改革の困難さを物語る光景だった。
フォルネロ氏は当時を振り返って、イタリア国債がユーロ圏を崩壊させかねないほどの大規模な債務危機の一環として急激に売り込まれていた状況からすれば、他に選択肢はなかったと話す。「誰かを処罰するために改革を実行したのではなく、イタリアが依存していた金融業界が真剣で即効性のある改革を求めていたからだ」とロイターに語った。
実際に、2006―15年にEUで実施された主要な年金制度改革を分析した学術研究によると、政府は市場圧力にさらされてようやく年金制度の改革に踏み切る覚悟を決める傾向にあるという。
フランスはこうした圧力がまだ存在せず、国債の利回りは安全資産とされるドイツ国債に比べて80ベーシスポイント(bp)高い程度だ。イタリアはユーロ危機の絶頂期に500bp程度まで達していた。
イタリア・シエナ大学の教授のマッティア・グイディ氏は「フランスに対する市場圧力が小さければ、改革はそれほど厳しくならないだろう」と述べた。





