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一体なぜ? 大谷翔平は台湾ファンに「高校生」と呼ばれている...意外な理由は「イチロー人気」とも関係が

OHTANI FEVER IN TAIWAN

2025年10月3日(金)19時13分
蔡亦竹(さい・いじゅ、台湾・高雄市在住の作家)

台湾はいまだに超学歴社会だ。野球が国技と言いながら、一昔前なら子供が野球一筋だと親が反対するほど、スポーツ選手の未来は不安定だった。実際、セミプロ時代の台湾の野球選手は、引退後に単純労働者や道路整備業に転職する人が多かった。

プロ野球が始まり、スポーツの環境が良くなりつつある現在でも、「勉強ができないから野球をやっている」という、古くさく儒教的な考えを持つ親は少なからずいる。

半導体で新時代をつくり上げた台湾では、子供の頃から勉強し、いい大学の理系学部に入って、将来はハイテク企業に就職すればよし、という風潮は根強い。

「理想的な日本人」そのもの

同じく東洋人としてメジャーリーグで大成し、名誉と財産を手にした大谷が、そんな儒教的な考えを打破して新世代の価値観を提示した、と台湾人は感じたのだ。

台湾人が大好きな大谷のエピソードの1つは、当然ながら巨額な大谷の給料が、自分の出身高校の同級生たちの「平均年収」を(計算上で)数千万円も上げてしまった、という話だ。

大谷は野球選手としてもちろん文句なしに優れているが、物静かで謙虚で、教養も持ち合わせていそうだ。台湾人から見て「文武両道」で、そのうえ野球に専念する職人気質の持ち主でもある。「理想的な日本人」そのものだから、その活躍を素直に喜ぶ感情が生まれる。

ただし次のWBCの台湾戦ではあまり活躍してほしくない、というのが今の台湾人の矛盾した思いだ。

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