ネパールの次のZ世代革命はフィリピン? 大統領は政治家や官僚の不正追及を約束しているが...
Condemning Corruption
だが、この問題におけるマルコスのリーダーシップに、不信感を抱く人はいる。問題の公共事業や議会の関与を前提とする予算法案に署名したのは、マルコス自身だ。
マルコスが不正を指摘する案件は、自分の政敵が関与していたものに偏っているとの声もある。実際、自らの機密費使用については沈黙を保っているし、与党議員らは野党議員による大統領府予算の精査を妨害してきた。
ただ、抗議デモ参加者の一部は、マルコスの辞任を求めることには慎重だ。というのも、それが実現すれば、やはり不正な公共事業に関わっていたとされるサラ・ドゥテルテ副大統領が新大統領に就任することになるからだ。
ドゥテルテは、「超法規的殺人」など行きすぎた麻薬撲滅措置や、権威主義的な政策を推し進めたロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の娘だ。それだけに、ドゥテルテ家が再びフィリピンで権力を握ることに強烈な警戒感を抱く人は少なくない。
だが、それを言うならマルコスも、かつて20年以上にわたりフィリピンの権力を牛耳り、莫大な不正蓄財を働いた故フェルディナンド・マルコス元大統領の息子だ。9月21日の全国的な抗議運動は、父マルコスが1972年に戒厳令を発表し、独裁体制を強化するきっかけとなった日に合わせて実施された。