家事・育児・介護は無償労働......男女間の労働時給のえげつない格差

仕事・家事・育児・介護をトータルで見ると男性より女性の方が労働時間は長い photoAC
<仕事と家事・育児を合わせた労働時間で計算すると、男女間の時間給の格差は年代によって1.5~3倍以上にもなる>
働く人の年収を比較すると、男性が女性より高い。多くが子育てをしているであろう30代後半の既婚有業者の年収中央値は、男性が526万円、女性は213万円(総務省『就業構造基本調査』2022年)で、倍以上違う。
「女性は働いている時間が短いからだ」と言われるに決まっているのだが、「自分だって額に汗して働いている」と反論したくなる女性は少なくないはずだ。労働は、対価が発生する仕事としての有償労働と、そうでない無償労働に分かれる。家庭内での家事、育児、介護等は後者の典型で、その大半を女性が担っている。
30代後半の既婚有業者のデータを見ると、男性の1日の平均仕事時間は449分、家事・育児・介護は64分。女性はそれぞれ251分と271分(総務省『社会生活基本調査』2021年)。合計すると男性は513分、女性は522分。労働の概念を広くとると、男性より女性の方が長く働いている。
以上は30代後半のデータだが、他の年齢層とつないだ折れ線グラフにすると<図1>のようになる。左側は広義の労働時間、右側は年収の中央値だ。
ほとんどの年齢層で、働く時間は男性より女性が長い。しかしながら年収は男性の方がはるかに高く、その差は加齢とともに広がっていく。男性は上がるが、女性は下がる一方だ。家事や家族ケアは無償というのが慣行とはいえ、不公平と感じる人もいるはずだ。こういう現実を肌で感じ取って、女性は結婚をためらう。昭和の頃とは時代が違うのだ。