最新記事
米軍

カリブ海で始まった「麻薬戦争」――トランプが軍艦を派遣した理由【note限定公開記事】

Trump’s Caribbean Gambit

2025年9月10日(水)08時05分
ライアン・C・バーグ(戦略国際問題研究所米州プログラムディレクター)、エリック・ファーンズワース(同プログラム上級アソシエイト)
米軍がベネズエラ沖で麻薬密輸船を攻撃する様子(トランプ大統領が公開)

米軍による麻薬密輸船攻撃の映像をトランプがソーシャルメディアで共有(9月2日)/REUTERS

<「麻薬撲滅」という大義名分の陰で、カリブ海に米軍艦が展開した。標的はカルテルなのか、それともマドゥロ政権なのか──>


▼目次
1.「麻薬取引=テロ」が意味するもの
2.「5000万ドル」の懸賞金に揺れる軍部


1.「麻薬取引=テロ」が意味するもの

麻薬取引はテロだ――米トランプ政権の新たな認識の下、中南米の麻薬カルテルに軍事攻撃が迫っている。

新方針に基づく対応の第1弾として、米軍は9月2日、南米ベネズエラ沖で麻薬密輸船とされる船舶を攻撃し、11人を殺害。こうした作戦は今後も繰り返されるだろう。

8月中旬以降、トランプ政権は1989年のパナマ侵攻以来、西半球で最大規模となる海軍をカリブ海南部に展開してきた。

狙いはベネズエラのマドゥロ政権による麻薬密売の撲滅。

通常は米沿岸警備隊の任務だが、投入された海軍の規模と戦闘能力から、米政府がベネズエラの体制転覆まで視野に入れているとの臆測が広がっている。

一方、ベネズエラもコロンビア国境付近の石油輸出拠点に軍艦を派遣し、国境地域に兵力1万5000人を展開。さらに国民に民兵組織への参加を呼びかけている。

とはいえ、米政府がベネズエラ侵攻に向けた準備を進めている可能性は低い。

ドナルド・トランプ大統領は過去に、体制転覆を狙った作戦の後に「終わりなき戦争」が続くことへの嫌悪感をあらわにしていた。

イランなどへの対応からも、地上軍の派遣と長期的な関与を伴わない短期攻撃を好む傾向がうかがえる。

2.「5000万ドル」の懸賞金に揺れる軍部

今回、海軍を派遣したことで、トランプは体制転覆を試みなくてもベネズエラに影響を及ぼせる方法を複数手に入れた。

◇ ◇ ◇

記事の続きはメディアプラットフォーム「note」のニューズウィーク日本版公式アカウントで公開しています。

【note限定公開記事】カリブ海で始まった「麻薬戦争」――トランプが軍艦を派遣した理由


ニューズウィーク日本版「note」公式アカウント開設のお知らせ

公式サイトで日々公開している無料記事とは異なり、noteでは定期購読会員向けにより選び抜いた国際記事を安定して、継続的に届けていく仕組みを整えています。翻訳記事についても、速報性よりも「読んで深く理解できること」に重きを置いたラインナップを選定。一人でも多くの方に、時間をかけて読む価値のある国際情報を、信頼できる形でお届けしたいと考えています。

ニューズウィーク日本版 脳寿命を延ばす20の習慣
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月28日号(10月21日発売)は「脳寿命を延ばす20の習慣」特集。高齢者医療専門家・和田秀樹医師が説く、脳の健康を保ち認知症を予防する日々の行動と心がけ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米

ビジネス

米FRB、「ストレステスト」改正案承認 透明性向上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中