最新記事
コーカサス

トランプが計画する、南コーカサスの「トランプ・ブリッジ」とは? ロシアやイランは戦々恐々

How 'Trump Bridge' May Soon Reshape Warzone Bordering Russia, Iran, Turkey

2025年8月8日(金)17時45分
トム・オコナー

動機は個人の名誉だったとしても、地域情勢は大きく改善するかも

アゼルバイジャンとアルメニアの和平合意は、トランプにも南コーカサス地域の情勢にも裨益する。

南コーカサスの紛争と安全保障の専門家、オレシア・バルタニャンは本誌に対し、「トランプは和平合意案でノーベル賞候補となることを狙っているのかもしれないし、単に世界平和の実現への意思を示そうとしているのかもしれない。しかし個人的な動機はさておき、この地域にとっては本当に大きく重要なことだ」と、和平への取り組みの重要性を指摘した。

「たとえ、最終的な和平合意の署名がなくても、地域の安定と長期的な戦争回避の可能性を高めるだろう」


トランプは、自らが進める平和外交で国際的な評価を得たいという意図を隠さない。

実際、セルビアとコソボ、コンゴ民主共和国とルワンダ、カンボジアとタイ、インドとパキスタンの間の紛争解決で一定の役割を果たした(2025年5月に勃発した印パ間の紛争でのアメリカの役割については評価が分かれている)。

一方、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争では、打開策を見出せず、手をこまねいている。

ジョージ・メイソン大学の研究者アリ・ママドフは、南コーカサスにおけるトランプの外交介入の意図は明白だと指摘する。

「『ザンゲズール回廊』への関与という発想は、トランプが他地域でも好んで用いてきた、取引型かつ利益重視の外交の流れに沿うものだ」とママドフは本誌に語った。

「紛争解決を主導すれば、トランプはそれを目に見える成果として提示できる。加えて、アブラハム合意のような個人的な外交成果として、自身をブランド化することもできる」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国国家主席、ウクライナ停戦に向けた米ロの接触を歓

ワールド

印ロシア首脳が電話会談、ウクライナ情勢や米特使のロ

ワールド

米、パレスチナ国家承認の計画なし=バンス副大統領

ワールド

バンス氏、28年米大統領に「焦点当てず」 後継者巡
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 5
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 8
    バーボンの本場にウイスキー不況、トランプ関税がと…
  • 9
    経済制裁下でもロシア富豪はますます肥え太っていた…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中