トランプが計画する、南コーカサスの「トランプ・ブリッジ」とは? ロシアやイランは戦々恐々
How 'Trump Bridge' May Soon Reshape Warzone Bordering Russia, Iran, Turkey
動機は個人の名誉だったとしても、地域情勢は大きく改善するかも
アゼルバイジャンとアルメニアの和平合意は、トランプにも南コーカサス地域の情勢にも裨益する。
南コーカサスの紛争と安全保障の専門家、オレシア・バルタニャンは本誌に対し、「トランプは和平合意案でノーベル賞候補となることを狙っているのかもしれないし、単に世界平和の実現への意思を示そうとしているのかもしれない。しかし個人的な動機はさておき、この地域にとっては本当に大きく重要なことだ」と、和平への取り組みの重要性を指摘した。
「たとえ、最終的な和平合意の署名がなくても、地域の安定と長期的な戦争回避の可能性を高めるだろう」
トランプは、自らが進める平和外交で国際的な評価を得たいという意図を隠さない。
実際、セルビアとコソボ、コンゴ民主共和国とルワンダ、カンボジアとタイ、インドとパキスタンの間の紛争解決で一定の役割を果たした(2025年5月に勃発した印パ間の紛争でのアメリカの役割については評価が分かれている)。
一方、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争では、打開策を見出せず、手をこまねいている。
ジョージ・メイソン大学の研究者アリ・ママドフは、南コーカサスにおけるトランプの外交介入の意図は明白だと指摘する。
「『ザンゲズール回廊』への関与という発想は、トランプが他地域でも好んで用いてきた、取引型かつ利益重視の外交の流れに沿うものだ」とママドフは本誌に語った。
「紛争解決を主導すれば、トランプはそれを目に見える成果として提示できる。加えて、アブラハム合意のような個人的な外交成果として、自身をブランド化することもできる」