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独裁者

政敵排除や選挙結果操作...欧州の隣でやりたい放題の「独裁者」を、EUやアメリカが支持する理由

2025年7月18日(金)13時50分
シナン・ジディ、タイラー・ステイプルトン
抗議の声をつぶそうとする独裁者のイラスト

欧米諸国は「民主主義」を重視し、独裁者に対しては厳しい態度を取りがちだが kucrit-shutterstock

<「民主主義」を金科玉条とする西側諸国も、利害が一致していたら「独裁者」を支持してしまう?>

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、民主主義を破壊している。そして、その強硬姿勢は日に日に増している。政敵を次々と投獄し、6月からは最大野党・共和人民党(CHP)の議員のほぼ半数を国会から排除すべく動き始めた。

しかし、不可解なことに、民主主義を標榜するアメリカとヨーロッパは強権的なエルドアンを支持している。ヨーロッパのすぐ近くに、筋金入りの独裁政権の誕生を許しているのだ。


EUはロシアの脅威の高まりを受け、トルコを安全保障上の重要なパートナーとみなしている。トランプ米政権はさらに多くを期待し、シリアの安定化、ウクライナでの和平実現、さらにはイスラエルとイランの仲介をもトルコに求めようとしている。

西側諸国の熱烈な支持により、エルドアンは国内で権力固めに専念できる状況だ。

エルドアン政権下のトルコは、他の民主主義国家とは一線を画す国となった。選挙は行われるが、エルドアンは自らが勝てるよう選挙環境を操作している。市民社会は空洞化され、言論の自由や報道の自由は抑圧されている。

エルドアンを公然と批判する者はほとんどおらず、批判すれば投獄されてしまう。7月初めにも野党関係者が身をもって証明した。

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