最新記事
インタビュー

ナチスによる悲劇を「繰り返すわけにいかない」...イスラエル大使が語った、イラン攻撃の狙いと成果

2025年6月25日(水)18時45分
山田敏弘(国際ジャーナリスト)

イスラエルは20年前に、ガザから撤退しました。ところが、彼らは自分たちの繁栄に投資する代わりに、町や家々、そしてイスラエル人を殺したり誘拐したりすることに投資しました。

ガザでの戦争は明日にも終わらせることができます。イスラエルからの条件は2つです。1つは、とにかく私たちの人質を解放してください。まだ53人の人質がいます。そのうち20人がまだ生きています。2つ目は、ハマスら過激派組織が武器を置いてガザから出ていくことです。それだけです。ガザが将来イスラエルに脅威にならないようにしてほしい。それだけです。

この戦争は現在600日以上続いています。最終的に私たちはハマスなどに人質を解放するよう求めました。そして交渉をしてきました。アメリカのトランプ政権のスティーブ・ウィトコフ中東特使が2つの提案をしました。人質を解放するための停戦と、彼らの捕虜を引き渡すことに合意しました。ところが、ハマスが拒否しました。

なぜハマスに「戦争をやめるべきだ」と訴えないのですか? 彼らはガザで苦しむ人たちに責任がある。ところが実態は、ハマスはガザの人々が苦しむのを喜んでいます。なぜなら、彼らが苦しめば苦しむほど、イスラエルへの批判が増えるからです。だから彼らは人間の盾の陰に隠れています。彼らは地下壕や病院の陰に隠れています。

パレスチナ自治政府のアッバス議長でさえ、ハマスに人質を解放して終わりにしろ、と言っているくらいです。

──日本の対応をどう見ていますか。

私は日本がイスラエルのそばに立ってくれていることに感謝しています。G7の声明でそれを認めてくれ、今、イランは決して核兵器を持ってはならないとの立場です。日本がイスラエルを、自由世界を支持し続けることを願っています。なぜなら、イスラエルは日本と自由世界のために戦っているからです。


ギラッド・コーヘン(Gilad Cohen)

駐日イスラエル大使
1967年生まれ。イスラエルの緊急医療サービス機関であるマゲン・ダヴィッド・アドム公社に勤めた後、外交官に。ブラジル、トルコ、アメリカなどでの赴任を経て、2021年から現職。


ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米政府、石油・ガス開発で2040年までに30件超の

ビジネス

ビール最大手ABインベブ、米国に1500万ドル投資

ワールド

インド経済、年8%成長必要 地政学的不確実性の中=

ビジネス

中国人民銀、最優遇貸出金利を3カ月連続で据え置き 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 10
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 7
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 8
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中