アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴エリートたちの報復が始まる
The Scholar Who Predicted America's Breakdown Says It's Just Beginning
「知っての通り、2020年代のアメリカに政治的不安定性が到来することを、2010年に予測した。歴史的なパターンと定量的な分析がそう言っていた」と、ターチンは本誌に語った。「この予測に至った構造的要因は三つある。大衆の困窮、エリート層の過剰生産、そして国家の能力低下だ」
彼のモデルによれば、トランプの台頭はアメリカの政治危機の原因ではなく「症状」だ。野心的で学歴も高いが権力から排除された「対抗的なエリート階級」が選んだ破壊装置だという。トランプは権力から排除されたエリートではないが、ワシントンのアウトサイダーで「既存秩序の敵役」を演じるポピュリストだからだ。
「エリート層の内部では競争はさらに激化しており、エリートにふさわしいポストの不足がその原動力になっている」と、彼は言う。これまでエリートの象徴だった法曹界ではかなりの仕事が急速にAIに置き換わられている。米国際開発庁(USAID)で数千のポストを削減した政府効率化省(DOGE)による政府リストラもこの傾向を加速させていると指摘する。
この理論に呼応するように、ミシガン州のウェイン州立大学の社会学者ユッカ・サボライネンは、ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿した最近の論考で、アメリカは「過激化した知識階級」を生み出すリスクに直面していると警告した。