アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴エリートたちの報復が始まる
The Scholar Who Predicted America's Breakdown Says It's Just Beginning
現在の状況と最もよく似た時期の一つが1970年代だとターチンは指摘する。1970年代はアメリカだけでなく西側全域で、大学キャンパスや中流階級から過激な運動が台頭した。
たとえば米ミシガン大学の学生組織として始まった極左組織「ウェザーマン」は政府機関や銀行を爆破した。西ドイツの「ドイツ赤軍派」やイタリアの「赤い旅団」も誘拐や暗殺を行った。
これらの運動を起こしたのは「持たざる者」たちではなく、必要以上に高学歴で社会的地位が追いつかず、政治的に疎外されている人々だった。
「そうした構造が再び表面化するリスクが現実にある」とターチンは言う。
ターチンのモデルについては、その決定論的なトーンを疑問視する声もある。だが彼は、自分は具体的な出来事を予測しているのではなく、あくまでリスク要因と構造的なストレスの段階を予測しているにすぎないと強調する。
多くの政治アナリストや歴史家が、現代アメリカの政治的混乱が始まったのは2016年にトランプが米大統領選で勝利した時だと指摘しているが、ターチンはその何年も前から警鐘を鳴らしていた。トランプがNBCの人気リアリティ番組の司会者として知られていた頃だ。