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荒川河畔の「原住民」(30)

かつて「ドヤ街」だった山谷で開かれた野外音楽フェスで見たもの

2025年6月3日(火)16時15分
文・写真:趙海成

「1980年代とか90年代の山谷ってのは今と全然違う。私は70年代の生まれでまだ全然記憶にないくらいだけど、話には聞いています。

やっぱり暴動が繰り返しあったので、女性は山谷地区の中を1人で歩いちゃいけないよって言われたりもしましたし。報道では、危険なイメージがもう作られてしまっていて。

ほんとについ10年くらい前までは、山谷でタクシーを止めようと思っても、タクシーが乗車拒否するのは普通でした」

しかしそんな山谷も、2019年頃からは一部の古いドヤが撤去・改造され、マンションやホテルなどの建設が進んでいる。

今でも一泊2000円ほどで泊まれる宿が残っており、近年では山谷の安い宿を求めて訪れる外国人観光客が増えたようだ。

今回の「りんりんふぇす」のように、山谷地域を、明るく活発で多文化が入り混じる生活空間にしようと目指す取り組みも行われている。

一部の音楽家、画家、写真家、劇作家などのアーティストや支援者が、積極的に地元の住民と共にコンサートやカラオケステージやアート展示会など、さまざまなイベントを開き、山谷の住民の文化生活もますます多彩になっている。

今日のこの多彩な「りんりんふぇす」はそのような取り組みの中でも重要で、山谷はまさに曙光を迎えたようだった。

このイベント開催のためにたゆまず努力してくれた方々や、支援団体、後援をする台東区に敬意を払いたい。

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