最新記事
荒川河畔の「原住民」(30)

かつて「ドヤ街」だった山谷で開かれた野外音楽フェスで見たもの

2025年6月3日(火)16時15分
文・写真:趙海成

同じく全国でも有数の寄せ場である大阪の釜ヶ崎はまだ機能していたが、山谷では労働が減少し、一時は隅田川河川敷や新宿にかなりの数の段ボールハウスが並んだそうだ。

現在は簡易宿泊所の宿泊者のうち9割が生活保護を受給しているが、それだけで生活が根本的に改善されるわけではない。

ほとんどの人は元日雇い労働者で、すでに高齢で親戚もおらず、孤独に暮らしている。悲惨な例だが、「孤独死」する高齢者もおり、なかには1つのアパートで2人の高齢者が同時に孤独死したケースもあったという。

そんな山谷では現在、NPOや民間団体によって、生活支援の必要な高齢者のための施設やターミナルケア施設が設立されている。

高齢や病気・障害などで一人暮らしが難しい高齢者に対しては、より良い医療、保健、介護などのサービス提供、生活支援や居住支援が行われるように現地の医療・介護関係者、NPOやボランティアの方々が奮闘している。

「りんりんふぇす」での座談会の様子

「りんりんふぇす」での座談会の様子

山谷住民の文化生活は多彩になってきている

音楽ステージが終わった後、「私が見た山谷」というテーマの座談会では、興味深い話が聞けた。

ミュージシャン、山谷で活動する写真家、画家、福祉活動家、寺院の住職などが登場し、それぞれ山谷との縁や山谷での昔の思い出、山谷のために現在行っている活動などについて語り合った。

写真家で山谷で暮らす人々のポートレートを撮る多田裕美子氏は、座談会の中で、昔の山谷についてこう語った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アルミに供給不安、アフリカ製錬所が来年操業休止 欧

ビジネス

川崎重社長、防衛事業の売上高見通し上振れ 高市政権

ワールド

インド中銀総裁「低金利は長期間続く」=FT

ビジネス

シャドーバンキング、世界金融資産の51% 従来型の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中