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荒川河畔の「原住民」(30)

かつて「ドヤ街」だった山谷で開かれた野外音楽フェスで見たもの

2025年6月3日(火)16時15分
文・写真:趙海成

「りんりんふぇす」には、「隣」の人と「輪」になるというメッセージが込められている。

浄土宗のお坊さんが集まる慈善団体の事務局長で、今回のフェスの主催者の1人でもある吉水岳彦(がくげん)氏は、「つらい人はどこかでつながっているから、隣の人と助け合う輪ができてほしい」と話す。

実行委員会の発起人であり、シンガーソングライター兼エッセイストである寺尾紗穂氏は、パンフレットの中でこのように述べる。

「アーティスト、山谷のおじさんたち、ビッグイシューの販売者さん、音楽ファン、支援団体の方たち、地元の方、移民・難民の方など多様な人々がともに音楽を楽しみ、互いを感じ合う場を、継続して作っていけたらと思います。

多くの人にとって、この玉姫公園で開かれる一年に一度のりんりんふぇすというお祭りが、『山谷』という場所の歴史を感じ、人に出会い、多彩な人が入り混じり、みんなで音楽を共有した思い出を重ねて行く場所になったらと願っています」

なるほど、意義深くて素晴らしいイベントだ!

会場には山谷で暮らす人々を取り上げた美術展や写真展、食事や雑貨を販売するブースも設置されていた

会場には山谷で暮らす人々を取り上げた美術展や写真展、食事や雑貨を販売するブースも設置されていた

約800人が来場、まるで山谷のカーニバル

開場から30分ほどで、すでに200人以上が集まっていた。

観客の多数は近隣の住民だ。なかには高齢で生活保護を受けている元日雇い労働者や近くに路上生活をしているホームレスの人もいて、みんなの顔には喜びが満ち溢れていた。

主催者によると、来場者は約800人だそうだ。出店している数々の屋台は、低所得者やホームレスなどの貧困者に限らず、大規模災害や難民など日本での生活に困窮している人の支援活動の団体によるものが多い。

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