「元に戻してほしい」...韓国の有権者を突き動かす「戒厳令の痛み」
5月27日に発表された大統領選に関する有権者への世論調査によると、経済再生で李候補を信頼しているとの回答が45%あったのに対し、金候補は32%にとどまった。
金陣営は、李候補が収賄や汚職を含む複数の罪で起訴されていることを批判する一方で、尹氏と距離を置くことに苦心している。
金候補は5月30日、李候補に投票すれば「経済崩壊」を招くと訴え、大統領選を韓国復活の転換点にすることを呼びかけて堤川市などの比較的小規模の都市の有権者を動かそうとしている。
しかし、戒厳令は与党に重くのしかかり続けている。
戒厳令による消費者心理指数(CCSI)の落ち込みは、新型コロナウイルス禍以来の大きさとなった。次期政権下での新たな景気刺激策が実施されるとの期待感から5月のCCSIは101.8となり、戒厳令前の水準まで回復した。
戒厳令という衝撃的な動きは市場を動揺させ、韓国通貨ウォンは24年にアジア地域で最もパフォーマンスの悪かった通貨の1つとなった。その後はトランプ米大統領が輸入品に懲罰的な関税を課す政策が、企業心理を傷付けた。
半導体ブームや、ここ数年の資本市場改革による景気の追い風が弱まりつつある今、韓国経済にはひずみが生じつつある。